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第三章 笑う宝石
神様殺し2
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想像していたのと大分違う。もっとこう、軽薄な感じだと思っていたが、実際は人間から求められているという自信と、忘れられたら消えてしまうという儚さがせめぎ合って、不思議な魅力を発している。
「お久しぶりです」
口を開きかけたナイトより先にルキルくんが腰を上げた。人間の神様がびくっとなる。
「そんなに怯えないでください。僕はもう怒っていませんよ」
もう? じゃあやっぱり以前はそんなに怒っていたのか。人間の神様は気まずそうにルキルくんの前に来た。
歩く姿も想像と違って、滑るようで神秘的だ。
「あの時、わたしはどうしたら良かったんだろう、今でも何が正解だったのかわらないんだ」
真剣な顔で言う神様に、ルキルくんがはにかんで応える。
「僕にもわかりません。だからあなたも自分を責める必要なんてないんです」
人間の神様が安心した表情を浮かべ、ルキルくんに片手を出し、ルキルくんがその手を取った。
何が何だかわからないけれど、神様同士が争いだしたりしなくて良かった。
人間の神様がナイトと俺たちを交互に見ながら言った。
「ナイト、良く来たね。そっちのやけにかっこいい悪魔がエンドさん? それで、そのシロキさんにそっくりなのが――」
「そっくりというか、シロキの身体だからな」
「あ、そうだったね」
カドと目が合った神様の表情が、一瞬氷りついたように見えたが直ぐに人懐っこい笑顔を浮かべ挨拶してきた。
「よろしくね」
俺は微笑んで会釈し、カドも無邪気に笑って応えている。
「それで、持ってきたよ。預かっていたもの」
そう言って人間の神様が二本のガジエアをナイトに差し出した。初めて見た。動物の牙のようだ。それが淡く青く発光していて美しい。優しささえ感じて、これで本当に神様が切り裂けるのかと不思議に思う。
ナイトがガジエアを受け取った。俺はカドを庇うように立ち上がる。
ナイトは俺に視線を寄越すと、そのままガジエアを一本投げて寄越した。直ぐにそれを右手に持ち替える。こんなことをするのは初めてだけれど、使い方は合っているんだろうか。
ガジエアを人間の神様に突き立てながら、横でルキルくんに切りかかるナイトを確認した。
「お久しぶりです」
口を開きかけたナイトより先にルキルくんが腰を上げた。人間の神様がびくっとなる。
「そんなに怯えないでください。僕はもう怒っていませんよ」
もう? じゃあやっぱり以前はそんなに怒っていたのか。人間の神様は気まずそうにルキルくんの前に来た。
歩く姿も想像と違って、滑るようで神秘的だ。
「あの時、わたしはどうしたら良かったんだろう、今でも何が正解だったのかわらないんだ」
真剣な顔で言う神様に、ルキルくんがはにかんで応える。
「僕にもわかりません。だからあなたも自分を責める必要なんてないんです」
人間の神様が安心した表情を浮かべ、ルキルくんに片手を出し、ルキルくんがその手を取った。
何が何だかわからないけれど、神様同士が争いだしたりしなくて良かった。
人間の神様がナイトと俺たちを交互に見ながら言った。
「ナイト、良く来たね。そっちのやけにかっこいい悪魔がエンドさん? それで、そのシロキさんにそっくりなのが――」
「そっくりというか、シロキの身体だからな」
「あ、そうだったね」
カドと目が合った神様の表情が、一瞬氷りついたように見えたが直ぐに人懐っこい笑顔を浮かべ挨拶してきた。
「よろしくね」
俺は微笑んで会釈し、カドも無邪気に笑って応えている。
「それで、持ってきたよ。預かっていたもの」
そう言って人間の神様が二本のガジエアをナイトに差し出した。初めて見た。動物の牙のようだ。それが淡く青く発光していて美しい。優しささえ感じて、これで本当に神様が切り裂けるのかと不思議に思う。
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ナイトは俺に視線を寄越すと、そのままガジエアを一本投げて寄越した。直ぐにそれを右手に持ち替える。こんなことをするのは初めてだけれど、使い方は合っているんだろうか。
ガジエアを人間の神様に突き立てながら、横でルキルくんに切りかかるナイトを確認した。
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