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第三章 笑う宝石
もう一つの融合16
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マツリが今、大切なものを失くしたばかりとは思えないほどしっかりした表情で見返してきた。
「あなたが、兄さんの言ってた悪魔ですか。僕、あなたのことを知ってる」
「――今、何て言った?」
「僕、あなたのことを鏡の中に見ていた」
救われる、と言う言葉の意味がわかった。
「本当か……お前は昔から俺の知らない感覚を教えてくれるな。本当はお前とゆっくり話をしたいんだ。ただ今はイサリが幽霊に追われている。魂が身体から出たら、奪われてしまうかもしれない」
マツリが不可解な顔で俺を見る。当たり前か。イサリに覆いかぶさり、むしろ俺から守るような様子さえ見せている。
「何を言ってるんですか。守るって、どうするんです? 兄さんはもう――」
「お前の魂で包んでくれ」
マツリには見えていないかも知れないが、イサリの身体から白銀に燃えるものが溢れてきた。ああ、やっぱり魂の色までシロキに似ている。同時に木々とは別の影がマツリの背後、遠くに見えた。
「あれだよ、イサリはあれに追われてここまで来たんだ。マツリ、時間がないんだ、ごめんな」
振り返り、幽霊を目にしてびくっとしてよろけたマツリを抱えると、俺はその胸にガジエアを突き立てた。
傷が直ぐに閉じてくれて本当に良かった。
そう信じていたからやったのだけれど。ガジエアで切り裂いた中から臓物より先に懐かしい、金色に透ける魂が現れ、その中心に青いトリプガイドが見えた。ずっと眺めていたい気持ちをどうにか静め、イサリの白銀の魂を合わせる。
金と銀と青が現実のものとは思えないほどの美しさで爆ぜた。上手くいくのかわからなかった。悪魔と神様と生命の融合。こんなもの今まで誰もみたことがないだろう。作成者さえ。
そしてそれを素早くマツリの身体に戻す。
マツリが目を開くまでは不安だった。もう融合の苦しみを見るのは懲り懲りだ。
マツリが薄っすら目を開いた時、全く理解出来ていないその顔を撫でて言った。
「お前は良く兄さんを守ったよ」
「あなたが、兄さんの言ってた悪魔ですか。僕、あなたのことを知ってる」
「――今、何て言った?」
「僕、あなたのことを鏡の中に見ていた」
救われる、と言う言葉の意味がわかった。
「本当か……お前は昔から俺の知らない感覚を教えてくれるな。本当はお前とゆっくり話をしたいんだ。ただ今はイサリが幽霊に追われている。魂が身体から出たら、奪われてしまうかもしれない」
マツリが不可解な顔で俺を見る。当たり前か。イサリに覆いかぶさり、むしろ俺から守るような様子さえ見せている。
「何を言ってるんですか。守るって、どうするんです? 兄さんはもう――」
「お前の魂で包んでくれ」
マツリには見えていないかも知れないが、イサリの身体から白銀に燃えるものが溢れてきた。ああ、やっぱり魂の色までシロキに似ている。同時に木々とは別の影がマツリの背後、遠くに見えた。
「あれだよ、イサリはあれに追われてここまで来たんだ。マツリ、時間がないんだ、ごめんな」
振り返り、幽霊を目にしてびくっとしてよろけたマツリを抱えると、俺はその胸にガジエアを突き立てた。
傷が直ぐに閉じてくれて本当に良かった。
そう信じていたからやったのだけれど。ガジエアで切り裂いた中から臓物より先に懐かしい、金色に透ける魂が現れ、その中心に青いトリプガイドが見えた。ずっと眺めていたい気持ちをどうにか静め、イサリの白銀の魂を合わせる。
金と銀と青が現実のものとは思えないほどの美しさで爆ぜた。上手くいくのかわからなかった。悪魔と神様と生命の融合。こんなもの今まで誰もみたことがないだろう。作成者さえ。
そしてそれを素早くマツリの身体に戻す。
マツリが目を開くまでは不安だった。もう融合の苦しみを見るのは懲り懲りだ。
マツリが薄っすら目を開いた時、全く理解出来ていないその顔を撫でて言った。
「お前は良く兄さんを守ったよ」
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