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第三章 笑う宝石
魂を待つ鳥7
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そのあと、俺にこれからのことを話しておきたい、と言ってまた作成者は歩き出した。
白くだだっ広い部屋は無限に広がる空間だと改めて認識した。
「さっき言ったようにお前には鏡の悪魔になってもらう」
「それって拒否できないか?」
「え?」
作成者が立ち止まる。
「俺は上手く言えないけど、人間でいいよ。お前の話だと、悪魔になったら死んでからしか人を救えないんだろ? 生きているうちにたとえ救えなくてもいいから、喜びを一つでも与えてやる方が俺の性にあってる。死んで救われるより、たった一度だけも信じて良かったと思えることがあったら、生きた甲斐もあるだろ」
作成者が俺をまじまじと見つめる。安定の無表情だ。
「――お前は、本当に良い鏡の悪魔になりそうだな」
「てめえ、人の話聞いてんのか」
「本当に口が悪いな」
また前を向いて白い空間を歩き出す。結構な早足だが、息も切らさず諭すように話始める。
「真っ直ぐ作成場に行こうと思っていたけれど、気が変った。少し寄り道をしよう。こんなに話し込まなくても普段はわたしの記憶を一旦全部与えてから、不要な情報を消去する方法を取っているんだけど、お前は特別だよ。だって、鏡の悪魔になるんだから」
やっぱり全然聞いてねえ。
「シロキ以外の神様はみんな人間の世界に住んでいる。神様たちには許可なく極楽まで通過できる門を持たせたことは、さっき話しただろ。わたしも自分の造ったものが恋しいからね。それなのに――ここには何故か誰も、一度も遊びに来たことがない」
「だろうな」
何故かじゃねぇよ。地獄は良くわからないが、さっき見たナイトという悪魔は魅力的だし、こいつの作成物の趣味は良さそうだ。
地獄だってこいつが造ったのなら飽きない場所だろう。だが、こいつ自身が住む極楽には何もない。
全てが人工的なだだっ広いだけの白い空間に、作成者のこいつがいるだけ。
何を好きこのんでこいつと向き合うためにここに来るやつがいるんだ。寝ていた方がましだ。
「何のためにこんなとこに来る――」
「たまに来たと思えば『壊れたから直せ』とかそんなのばっかりだよ」
被せ気味に作成者が答えた。
「そうしてわたしとは話もしないで、また元の世界に帰ってしまうんだ。見送るのが寂しいと思う」
平坦な口調でもやっぱりかわいそうになってしまう。
白くだだっ広い部屋は無限に広がる空間だと改めて認識した。
「さっき言ったようにお前には鏡の悪魔になってもらう」
「それって拒否できないか?」
「え?」
作成者が立ち止まる。
「俺は上手く言えないけど、人間でいいよ。お前の話だと、悪魔になったら死んでからしか人を救えないんだろ? 生きているうちにたとえ救えなくてもいいから、喜びを一つでも与えてやる方が俺の性にあってる。死んで救われるより、たった一度だけも信じて良かったと思えることがあったら、生きた甲斐もあるだろ」
作成者が俺をまじまじと見つめる。安定の無表情だ。
「――お前は、本当に良い鏡の悪魔になりそうだな」
「てめえ、人の話聞いてんのか」
「本当に口が悪いな」
また前を向いて白い空間を歩き出す。結構な早足だが、息も切らさず諭すように話始める。
「真っ直ぐ作成場に行こうと思っていたけれど、気が変った。少し寄り道をしよう。こんなに話し込まなくても普段はわたしの記憶を一旦全部与えてから、不要な情報を消去する方法を取っているんだけど、お前は特別だよ。だって、鏡の悪魔になるんだから」
やっぱり全然聞いてねえ。
「シロキ以外の神様はみんな人間の世界に住んでいる。神様たちには許可なく極楽まで通過できる門を持たせたことは、さっき話しただろ。わたしも自分の造ったものが恋しいからね。それなのに――ここには何故か誰も、一度も遊びに来たことがない」
「だろうな」
何故かじゃねぇよ。地獄は良くわからないが、さっき見たナイトという悪魔は魅力的だし、こいつの作成物の趣味は良さそうだ。
地獄だってこいつが造ったのなら飽きない場所だろう。だが、こいつ自身が住む極楽には何もない。
全てが人工的なだだっ広いだけの白い空間に、作成者のこいつがいるだけ。
何を好きこのんでこいつと向き合うためにここに来るやつがいるんだ。寝ていた方がましだ。
「何のためにこんなとこに来る――」
「たまに来たと思えば『壊れたから直せ』とかそんなのばっかりだよ」
被せ気味に作成者が答えた。
「そうしてわたしとは話もしないで、また元の世界に帰ってしまうんだ。見送るのが寂しいと思う」
平坦な口調でもやっぱりかわいそうになってしまう。
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