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第三章 笑う宝石
魂を待つ鳥3
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しばらく誰も来ないなら、とことん付き合ってやっても良いかと思った。イカれてはいるが凶暴な男には見えないし、青白い顔と細い身体から察するに、ケンカになったって俺の方がずっと強いだろう。
「まず、最初に出て来たたナイトって子だけど、確か鏡の悪魔だったな? その子は友だちがいないのか? 俺が来て喜ぶようなことを言っていたよな」
俺が興味を示したのが嬉しいのか、作成者が自分から少し身を乗りだした。
「実は人間と二人きりで話すのは初めてなんだ」
とんでもねえな、と言いかけて呑みこんだ。
「いつもは直ぐに作成に入ってしまうから。でもお前は特別だ。初めてナイトと同じ色の魂を抱えて来たんだから」
そう言って俺の顔を両手で包み、愛おしそうに撫でた。
「止めろよ、気持ち悪い」
顔の上をの手を思いっきり振り払った。作成者がしゅんとして下を向く。
「わたしがいくら愛情を注いでもお前たちには届かないね」
かわいそうではあるが、こいつの趣味に同情で応えるわけにもいかない。睨んでいると渋々といった感じで話の先を続けてくれた。
正直これ以上迫られずにほっとする。
「ナイトは決して一人ではないよ。シロキとカドがいるもの。シロキはさっき言った僕の最初の作成物、鏡の神様。カドはその使いだ。鏡の悪魔は早いうちに仲間を造ってあげたかったのだけれど、見合う魂が待っても待ってもやってこなかったんだ。お前が来るまで。だからナイトはずっと一人、鏡の地獄で役割を果たしてきた。わかるだろ?」
「わかんねえよ」
妄想癖のある奴はこうして当然のように他人も自分と同じ世界を見ていると思い込む傾向があって困る。
「まず、最初に出て来たたナイトって子だけど、確か鏡の悪魔だったな? その子は友だちがいないのか? 俺が来て喜ぶようなことを言っていたよな」
俺が興味を示したのが嬉しいのか、作成者が自分から少し身を乗りだした。
「実は人間と二人きりで話すのは初めてなんだ」
とんでもねえな、と言いかけて呑みこんだ。
「いつもは直ぐに作成に入ってしまうから。でもお前は特別だ。初めてナイトと同じ色の魂を抱えて来たんだから」
そう言って俺の顔を両手で包み、愛おしそうに撫でた。
「止めろよ、気持ち悪い」
顔の上をの手を思いっきり振り払った。作成者がしゅんとして下を向く。
「わたしがいくら愛情を注いでもお前たちには届かないね」
かわいそうではあるが、こいつの趣味に同情で応えるわけにもいかない。睨んでいると渋々といった感じで話の先を続けてくれた。
正直これ以上迫られずにほっとする。
「ナイトは決して一人ではないよ。シロキとカドがいるもの。シロキはさっき言った僕の最初の作成物、鏡の神様。カドはその使いだ。鏡の悪魔は早いうちに仲間を造ってあげたかったのだけれど、見合う魂が待っても待ってもやってこなかったんだ。お前が来るまで。だからナイトはずっと一人、鏡の地獄で役割を果たしてきた。わかるだろ?」
「わかんねえよ」
妄想癖のある奴はこうして当然のように他人も自分と同じ世界を見ていると思い込む傾向があって困る。
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