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第二章 鏡の地獄
古い炎1
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アドバンド
さっき地獄が二度揺れた。一度目は小さく、二度目は強く。
直ぐにカドの事を思った。昨日の朝、エンドフォスと水の地獄へ出かけて行ったあいつを。
エンドはカドを守れているだろうか。やっぱり俺がついて行くべきだっただろうか。
俺は迷わず鏡の門へ向かうことにした。前も似たようなことがあった。それ思うと居ても立ってもいられなくなる。鏡の空間で何が起こっているんだ。シロキさんは無事だろうか。
一年前、カドが現れた日も鏡の空間を訪ねたが、その時、扉は固く閉ざされたままだった。
気がつくと、既に鏡の門の前に立っていた。門の外壁が普段の透明ではなく鏡の状態になっている。さっきまで隠れていた月が夜に帰り、空は落ち着きを取り戻していた。
反して俺はせわしなく鏡の壁を叩く。シロキさん、いるんだろ? シロキさんが極楽に行くとは思えない。門がここにある以上、それ以外の居場所はこの中だろう。身体がないまま地獄をうろつくとも考えられない。
間をあけて三度同じことを繰り返し、やっと扉が液状に開いた。いるなら早く開けて欲しい。シロキさんはいつも躊躇うところが違う。
中に入ると、俺はまず上を見上げた。人間の魂の群れが巨大な天井にひしめき反射している。地上から送られたのか?
視線を平行に戻すと、遠くに青い球体が浮かんでいるのが見えた。それを認識した直後、球体の方からすうっと、こちらに近づいてきた。空間が縮小するこの感覚、ここには何度も入らせてもらったが、未だに慣れない。
近づいてきた青い球体と、その中で燃える白銀の魂。そのどちらも良く知っている。涙が出そうになる。
「シロキさん、無事で良かった」
懐かしい青い球体に触れる。手触りは冷たいガラスそのものだ。
「ここにいたのか」
永遠に見ていられるほど美しいシロキさんの魂が、爆ぜるように動いた。
「話せるか? シロキさん」
俺は青い球体に両手を乗せたまま、目を閉じた。
さっき地獄が二度揺れた。一度目は小さく、二度目は強く。
直ぐにカドの事を思った。昨日の朝、エンドフォスと水の地獄へ出かけて行ったあいつを。
エンドはカドを守れているだろうか。やっぱり俺がついて行くべきだっただろうか。
俺は迷わず鏡の門へ向かうことにした。前も似たようなことがあった。それ思うと居ても立ってもいられなくなる。鏡の空間で何が起こっているんだ。シロキさんは無事だろうか。
一年前、カドが現れた日も鏡の空間を訪ねたが、その時、扉は固く閉ざされたままだった。
気がつくと、既に鏡の門の前に立っていた。門の外壁が普段の透明ではなく鏡の状態になっている。さっきまで隠れていた月が夜に帰り、空は落ち着きを取り戻していた。
反して俺はせわしなく鏡の壁を叩く。シロキさん、いるんだろ? シロキさんが極楽に行くとは思えない。門がここにある以上、それ以外の居場所はこの中だろう。身体がないまま地獄をうろつくとも考えられない。
間をあけて三度同じことを繰り返し、やっと扉が液状に開いた。いるなら早く開けて欲しい。シロキさんはいつも躊躇うところが違う。
中に入ると、俺はまず上を見上げた。人間の魂の群れが巨大な天井にひしめき反射している。地上から送られたのか?
視線を平行に戻すと、遠くに青い球体が浮かんでいるのが見えた。それを認識した直後、球体の方からすうっと、こちらに近づいてきた。空間が縮小するこの感覚、ここには何度も入らせてもらったが、未だに慣れない。
近づいてきた青い球体と、その中で燃える白銀の魂。そのどちらも良く知っている。涙が出そうになる。
「シロキさん、無事で良かった」
懐かしい青い球体に触れる。手触りは冷たいガラスそのものだ。
「ここにいたのか」
永遠に見ていられるほど美しいシロキさんの魂が、爆ぜるように動いた。
「話せるか? シロキさん」
俺は青い球体に両手を乗せたまま、目を閉じた。
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