奇跡の神様

白木

文字の大きさ
上 下
48 / 331
第一章 奇跡の神様

鏡の門1

しおりを挟む
鏡の門           エンド


  顔を伏せていたシロキさん……いや、カドが俺を見上げた。

「俺も夢の中でシロキさんの記憶を見てたよ」

 カドの笑顔を久しぶりに見た気がして、俺は自分の方へ強く引き寄せた。捉まえていないとそのうちどこかに吸い込まれてしまいそうだ。

「カドさん、僕は鏡の世界の過去のことは知らないけど、想像はつきます。噂を聞いたことがありますから。それで、僕、カドさんの力になります。僕はずっと味方です」

 ルキルくんが優しく微笑んだ。

 俺は絡まる情報を整理する。

 一年程前に炎の地獄をうろついていたカドに最初の判定したのは俺だ。その時から今まで、カドが人間なのか、神様なのか、悪魔なのかわからなかったが、その答えは全部だった。

 主体は使いのカド、鏡の神様の身体に二つ重なった人間の魂、そして大量の悪魔の血が流れている。

悪魔の血のくだりはわからないことが多い。

 過去なんらかの理由で鏡の悪魔が消えかけるほど大量の血をカドに与えた。さらにアドバンドも。鏡の悪魔の血では足りずに炎の悪魔も血をわけていた。

 アドバンドはカドの正体に気づいていながら、知らないふりをしていたのか。どうしてそんな事をしたのだろう。

 カドが何で出来ているかわかったは良いが、付随する謎は深まる。

 悪魔の血が神様の使いに流れることになった出来事とは何だろう。

 鏡の悪魔が執着して、今はカドが持っている人間の魂とは何だろう。その魂の中にあった青いガラス玉とはなんだ。シロキさんは何と戦うつもりでいるんだ?

 シロキさんは人間の兄弟を『最終』と言っていた。俺から見ても浄化の必要のない魂だったから納得だ。何よりシロキさんが判別したのだから間違いない。シロキさんは滅多に判別をしたがらなかったらしいが、その実、一番その仕事に適している神様だ。

 『最終』を迎えた人間は地獄行きではなく極楽行きになる。そして極楽で、その魂から神様、もしくは悪魔が『作成』される。それが仕組みだ。

 太古の神様以外は悪魔も含めて、浄化が完了した元人間だ。

 確かに、これから神様か悪魔になる人間の魂を壊されるわけにはいかないと必死になるのは理解できる。じゃあ、なぜ直ぐ極楽に送ってやらないのか。カドの中に隠す必要があるのか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

スキル調味料は意外と使える

トロ猫
ファンタジー
2024.7.22頃 二巻出荷予定 2023.11.22 一巻刊行 八代律(やしろ りつ)は、普通の会社員。 ある日、女子大生と乗ったマンションのエレベーター事故で死んでしまう。 気がついたら、真っ白な空間。目の前には古い不親切なタッチパネル。 どうやら俺は転生するようだ。 第二の人生、剣聖でチートライフ予定が、タッチパネル不具合で剣聖ではなく隣の『調味料』を選んでしまう。 おい、嘘だろ! 選び直させてくれ!

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう

まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥ ***** 僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。 僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

処理中です...