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【外伝4】 破滅を回避できない悪役令息は初恋に溺れる
08-8.
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「関わることもないし」
レオナルドはクリスに振り回される日々を過ごしたくはなかった。クリスという存在について考えたくもない。それほどまでに嫌っているのは、クリスの言動に対し嫌悪感を抱いており、傍にいられるだけで体調不良を引き起こすからである。
レオナルドがクリスを嫌うのは当然だった。
死に抗おうとする本能かもしれない。
「それにゴミを持ち帰る理由にはなってないからな」
「……わかった、わかった。これは諦めればいいんだろ?」
レオナルドの言葉を聞き、ジェイドは観念したようにハンカチを机の上に戻した。
* * *
ジェイドの私室で二人は抱き合う。
部屋に入った途端にベッドに押し倒されたレオナルドは困ったような顔をしてはいたものの、拒むことはなかった。
……温かい。
ジェイドに抱きしめられていると心が安らかになる。
ジェイドの体温が冷え切ったレオナルドの体を温めている。それは幸せなことだった。この時間が長く続けばいいと心の底から願いつつ、レオナルドはジェイドを独り占めしている自分自身に嫌悪感を抱いていた。
「ジェイド」
レオナルドは甘えるような声でジェイドを呼ぶ。
「好きだ」
レオナルドは照れながらも愛の言葉を口にする。
命の期限は刻々と近づいてきている。
それならば、恥ずかしいなどと言って愛の言葉を口にしないのは時間を無駄にするだけである。
定められた死の運命はレオナルドを大胆にさせた。
「俺も愛してる」
ジェイドは当然のように愛を返す。
それからレオナルドの唇を奪うように重ね合わせた。
唇の感触を楽しむかのように触れるだけのキスを何度も繰り返し、レオナルドが我慢できずに少しだけ口を開けるように誘導をする。
ジェイドの癖のようなものだった。
レオナルドも同意の上で行っていることなのだと自覚させるように、ゆっくりと同じ行為を繰り返すのだ。
レオナルドはクリスに振り回される日々を過ごしたくはなかった。クリスという存在について考えたくもない。それほどまでに嫌っているのは、クリスの言動に対し嫌悪感を抱いており、傍にいられるだけで体調不良を引き起こすからである。
レオナルドがクリスを嫌うのは当然だった。
死に抗おうとする本能かもしれない。
「それにゴミを持ち帰る理由にはなってないからな」
「……わかった、わかった。これは諦めればいいんだろ?」
レオナルドの言葉を聞き、ジェイドは観念したようにハンカチを机の上に戻した。
* * *
ジェイドの私室で二人は抱き合う。
部屋に入った途端にベッドに押し倒されたレオナルドは困ったような顔をしてはいたものの、拒むことはなかった。
……温かい。
ジェイドに抱きしめられていると心が安らかになる。
ジェイドの体温が冷え切ったレオナルドの体を温めている。それは幸せなことだった。この時間が長く続けばいいと心の底から願いつつ、レオナルドはジェイドを独り占めしている自分自身に嫌悪感を抱いていた。
「ジェイド」
レオナルドは甘えるような声でジェイドを呼ぶ。
「好きだ」
レオナルドは照れながらも愛の言葉を口にする。
命の期限は刻々と近づいてきている。
それならば、恥ずかしいなどと言って愛の言葉を口にしないのは時間を無駄にするだけである。
定められた死の運命はレオナルドを大胆にさせた。
「俺も愛してる」
ジェイドは当然のように愛を返す。
それからレオナルドの唇を奪うように重ね合わせた。
唇の感触を楽しむかのように触れるだけのキスを何度も繰り返し、レオナルドが我慢できずに少しだけ口を開けるように誘導をする。
ジェイドの癖のようなものだった。
レオナルドも同意の上で行っていることなのだと自覚させるように、ゆっくりと同じ行為を繰り返すのだ。
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