知らない間に破滅を回避していた悪役令息は、侯爵家の嫡男に執着される

佐倉海斗

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【外伝4】 破滅を回避できない悪役令息は初恋に溺れる

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 ……どうして、こうなった?

 頬に口付けをされたことで混乱をしていたレオナルドをジェイドは部屋に連れ込んだ。そして、当然のようにベッドに押し倒していた。

 何度も瞬きをする。

 冷静に状況を受け入れようとしているのだろうか。

 レオナルドはジェイドの顔を見つめてはいるものの、拒絶はしなかった。

「状況をわかってるのかよ?」

 ジェイドはそれに対して何を思ったのか。

 押し倒している姿勢を崩すことなく、レオナルドに問いかけた。

「……一応は」

 レオナルドは自信のなさそうな声で応えた。

 目は逸らさない。抵抗もしない。

 ……部屋に連れてこられた時点である程度は分かっていたけど。

 拒む理由はなかった。

 ……好き、だから。

 初めて声を交わした時からジェイドに惹かれていた。

 手紙が届くたびに胸が締め付けられ、会う度に心が躍った。

 それが恋心であることをレオナルドも自覚をしていた。

「俺はずっとこうしたかった」

 ジェイドは言葉が足りないことがある。

 それを補うかのように突発的な行動に出る。

「愛しているんだ。レオ。俺だけのものになってほしい」

 逃がすつもりはないのだろう。

 曇りのない目で見つめられながら愛の言葉を告げられると、レオナルドの頬は赤くなった。それを隠すことさえもできない。

「俺だけを見ていてくれ」

 迷いのない言葉だった。

「俺だけを愛してほしい」

 返答次第では、ジェイドがどのような行動に出るかわからない。

 レオナルドは嘘偽りのない表情で愛の言葉を吐き続けるジェイドに対し、僅かな恐怖感を抱いた。しかし、恐怖を覆い隠すような高揚感もある。

「俺も。……好きだ」

 レオナルドは恥ずかしそうに笑みを零した。

 想いを拒絶されることはないとわかっているからこそ、ようやく口にすることができたのだろう。
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