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【外伝4】 破滅を回避できない悪役令息は初恋に溺れる
02-3.
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「良い子で待ってろよ」
レオナルドは荷物の点検を済ませ、立ち上がる。
それから駄々を捏ねるようにソファーに寝転がっているアルフレッドの元に近づいた。
「二年後にはアルも入学するんだ。そうすれば一年は一緒に通えるだろ?」
学年が違うことを考えれば、長時間を共に過ごすことはできない。
それを知っているからこそ、アルフレッドは拗ねた表情のままだった。
「兄さんのバカ」
アルフレッドは悪態を吐く。
それは親に構ってもらえない幼い子どもがするような仕草だった。
レオナルドはそれに対して咎めることはせず、アルフレッドの無造作に跳ねている髪を優しく撫ぜた。
「手紙を出すよ。寂しがり屋の可愛い弟の為だ。なにかあったら、寮から抜け出して駆けつけてあげる」
二歳下の弟を宥めるのには甘すぎる言葉だった。
アルフレッドは、レオナルドが学院に入学をすることがなければ成人しても傍にいようとするだろう。それを薄々感じ取っていたからこそ、レオナルドはアルフレッドに兄離れをさせる最良の機会になると考えていた。
「……約束だからな」
アルフレッドはゆっくりと上半身を起こす。
「兄さん」
それから、迷うことなくレオナルドに抱き着いた。
「なにがあっても、帰ってきてくれよ。レオ兄さん」
涙を堪えるような声だった。
……からかうと怒るだろうな。
レオナルドは抱き着いてくるアルフレッドの背中を優しく撫ぜながら、そんなことを考えていた。
「ふ、ふふっ」
笑い声が漏れてしまう。
アルフレッドは本気で言っているとわかっているからこそ、レオナルドは堪えきれなかった。からかうような言葉は飲み込んだものの、笑い声は抑えられなかった。
「なんで笑ってんだよ。兄さん!」
「ふふ、仕方ないだろ。まるで戦地に行くかのようなことを言うんだから!」
我慢が出来ないと言わんばかりに笑い始めた。
アルフレッドは抱き着くのを止め、少し、気まずそうな表情をしていた。
レオナルドは荷物の点検を済ませ、立ち上がる。
それから駄々を捏ねるようにソファーに寝転がっているアルフレッドの元に近づいた。
「二年後にはアルも入学するんだ。そうすれば一年は一緒に通えるだろ?」
学年が違うことを考えれば、長時間を共に過ごすことはできない。
それを知っているからこそ、アルフレッドは拗ねた表情のままだった。
「兄さんのバカ」
アルフレッドは悪態を吐く。
それは親に構ってもらえない幼い子どもがするような仕草だった。
レオナルドはそれに対して咎めることはせず、アルフレッドの無造作に跳ねている髪を優しく撫ぜた。
「手紙を出すよ。寂しがり屋の可愛い弟の為だ。なにかあったら、寮から抜け出して駆けつけてあげる」
二歳下の弟を宥めるのには甘すぎる言葉だった。
アルフレッドは、レオナルドが学院に入学をすることがなければ成人しても傍にいようとするだろう。それを薄々感じ取っていたからこそ、レオナルドはアルフレッドに兄離れをさせる最良の機会になると考えていた。
「……約束だからな」
アルフレッドはゆっくりと上半身を起こす。
「兄さん」
それから、迷うことなくレオナルドに抱き着いた。
「なにがあっても、帰ってきてくれよ。レオ兄さん」
涙を堪えるような声だった。
……からかうと怒るだろうな。
レオナルドは抱き着いてくるアルフレッドの背中を優しく撫ぜながら、そんなことを考えていた。
「ふ、ふふっ」
笑い声が漏れてしまう。
アルフレッドは本気で言っているとわかっているからこそ、レオナルドは堪えきれなかった。からかうような言葉は飲み込んだものの、笑い声は抑えられなかった。
「なんで笑ってんだよ。兄さん!」
「ふふ、仕方ないだろ。まるで戦地に行くかのようなことを言うんだから!」
我慢が出来ないと言わんばかりに笑い始めた。
アルフレッドは抱き着くのを止め、少し、気まずそうな表情をしていた。
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