91 / 233
第2話 婚約を結んだ悪役令息は引きこもりたくない
03-36.
しおりを挟む
「その間に引っ越しの準備をしておく」
必要なものを選択しなければならない。
……ジェームズともお別れか。
二十年近くの付き合いがある世話係の執事を思い出す。ジェームズならば、侯爵家が許してくれるのならば着いていくと言ってくれるかもしれない。
「執事は連れてきてもいいぞ」
ジェイドはレオナルドが考えていることがわかるのだろうか。
「ジェームズと言ったか? 何回かやり取りをしたことがある。あの爺さんなら老後も侯爵家で面倒を見てやってもいい」
「……聞いてみる」
「そうしてみろ。爺さんもレオナルドから誘われた方が嬉しいだろうからな」
伯爵家に関わるものは持っていく気にはなれず、所持している伯爵家由来のものの多くは兄弟に押し付けることになるだろう。
それでも、二十年近くも傍にい続けてくれたジェームズが傍にいてくれるのならば心強い。
侯爵家に転職をする許可もトムならば許してくれるだろう。
伯爵としても、父親としても頼りのないトムではあるが、レオナルドのことを大切な息子の一人として愛してくれていることは間違いない。
それを疑ったことだけは一度もなかった。
「兄上が帰ってくる前に抜け出せたら理想的だな」
口には出して見たものの、不可能に近いだろう。
婚約者の家に嫁ぐことは珍しいことではない。成人を過ぎた者同士の婚約ならば、その日のうちに同棲をすることもある。
その事例を出せば、セドリックさえ戻ってきてなければ、問題なく抜け出せるだろう。
「帰ってきても問題ねえな」
ジェイドは笑う。
「俺が迎えに行く。セドリックに二度と邪魔はさせねえよ」
ジェイドはレオナルドの首筋に口付けをする。
所有物であると主張するかのような痕を付けたことにレオナルドは気づいていない。恐らく、伯爵邸に帰った後にジェームズかアルフレッドに指摘をされて気づくことになるだろう。
必要なものを選択しなければならない。
……ジェームズともお別れか。
二十年近くの付き合いがある世話係の執事を思い出す。ジェームズならば、侯爵家が許してくれるのならば着いていくと言ってくれるかもしれない。
「執事は連れてきてもいいぞ」
ジェイドはレオナルドが考えていることがわかるのだろうか。
「ジェームズと言ったか? 何回かやり取りをしたことがある。あの爺さんなら老後も侯爵家で面倒を見てやってもいい」
「……聞いてみる」
「そうしてみろ。爺さんもレオナルドから誘われた方が嬉しいだろうからな」
伯爵家に関わるものは持っていく気にはなれず、所持している伯爵家由来のものの多くは兄弟に押し付けることになるだろう。
それでも、二十年近くも傍にい続けてくれたジェームズが傍にいてくれるのならば心強い。
侯爵家に転職をする許可もトムならば許してくれるだろう。
伯爵としても、父親としても頼りのないトムではあるが、レオナルドのことを大切な息子の一人として愛してくれていることは間違いない。
それを疑ったことだけは一度もなかった。
「兄上が帰ってくる前に抜け出せたら理想的だな」
口には出して見たものの、不可能に近いだろう。
婚約者の家に嫁ぐことは珍しいことではない。成人を過ぎた者同士の婚約ならば、その日のうちに同棲をすることもある。
その事例を出せば、セドリックさえ戻ってきてなければ、問題なく抜け出せるだろう。
「帰ってきても問題ねえな」
ジェイドは笑う。
「俺が迎えに行く。セドリックに二度と邪魔はさせねえよ」
ジェイドはレオナルドの首筋に口付けをする。
所有物であると主張するかのような痕を付けたことにレオナルドは気づいていない。恐らく、伯爵邸に帰った後にジェームズかアルフレッドに指摘をされて気づくことになるだろう。
110
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる