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第2話 婚約を結んだ悪役令息は引きこもりたくない

03-19.

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* * *


 ……どうしてこうなった?

 レオナルドは用意されている赤ワインを飲みながら警戒を強める。

 太陽が沈み、少しずつ人込みが減り始めていた頃に流されるように宿に連れ込まれた。そして事前に連絡を受けていたらしく、豪華な夕食と夜食に向いているらしい酒類やおつまみを渡され、宿の従業員は部屋を立ち去って行った。

 ……危機管理が薄いのでは?

 酒は人並みに嗜む。だが、他人よりも酒に対する耐性が強いレオナルドは用意された量では酔わないことを確信していた。

 しかし、宿に連れ込まれた時点で抵抗をするべきだった。

 綺麗に準備をされている寝具を目にした途端、先週の悪夢のような出来事を思い出し、逃走をするべきだったのではないかと思い返す。

「んー……」

 宿に連れ込んだジェイドは酒に酔って眠っている。

 食後に嗜む程度だと口にしていたものの、実際はかなり酒に弱いようだ。ワイングラス一杯分のワインを飲んだところ、眠りに落ちた。

「介抱係か」

 ため息を零す。
 下手に刺激をしたくはない。

 その為、適当に暖かそうな布を引っ張り出してかけておこうと思ったが、寝息を立てながらのんきに寝ているジェイドを見てしまうと放置したまま立ち去るのは気が引ける。

 ……馬車を呼ぶ手段は持ってきていないんだった。

 泊りになることは知らなかった。
 夕食中、ジェイドから明かされた予定に耳を疑ったものである。

 その後、同意がない限りでは二度と手は出さないと言われたが、それもどこまで信用できるのかわからない。

 身の安全を守る為には信用した演技をするのが良さそうだ。

「おい」

 レオナルドは距離を保ちながら声をかける。

「寝るのならばベッドに行け」

 レオナルドの言葉に対して返事はない。寝息が聞こえるだけだ。

 ……俺が運ばなければならないのか?

 出来ることならば、触りたくはない。

 ため息を零しそうになるのを堪えながら立ち上がり、寝具に視線を向ける。
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