70 / 235
第2話 婚約を結んだ悪役令息は引きこもりたくない
03-15.
しおりを挟む
……酸っぱい。
不快な酸味ではない。
肉料理の後に出てくる口直しの果物に似た酸味だ。
……甘くなってきた。
何度も噛んでいると徐々に甘みが出てくる不思議な果実だ。見た目はベリー系のようだったが、味は柑橘系に近く、妙に歯ごたえが良い。
「どうだ?」
ジェイドはレオナルドの反応が気になるだろう。
悪戯が成功した子どものような顔でレオナルドの返事を待つ。
「美味しいな」
「え? 本当か?」
「俺は好きな味だ。好みがわかれるとは思うけど」
レオナルドの感想を聞き、ジェイドは袋に手を入れる。
それから黄色の果実を探して摘み、覚悟を決めたような顔をして、口の中に入れた。
先ほどと同じように、酸っぱいということが隠しきれていない妙な表情を浮かべながら飲み込んだ。
「酸っぱい」
ジェイドは騙されたかのような目を向ける。
「好みの問題だろう」
レオナルドはその視線を気にすることはなく、もう一粒、黄色の果実を摘まんで口の中に入れた。
「……黄色を分けてやるよ」
「いらないなら受け取る」
「助かるよ。レオナルドは頼りになるな」
ジェイドは遠慮なく黄色の果実を摘まんでレオナルドの袋の中に入れる。
……直接、入れられるのではないかと警戒したんだが。
先週の出来事を考えると人目があるところでも暴走しかねない。
レオナルドがそのようなことを考えているとは知らないまま、ジェイドは袋の中に入っていた大量の黄色の果実を移動させている。
「そういえば、この果実の名前を見ていなかったな」
ジェイドは不意に思い出したのだろう。
「ふふっ、バカだな。これがイキシアの名物じゃないか」
「マジか。これが名物だったのかよ」
袋の中に苦手な黄色の果実が入っていないのか、念入りに確認しながら言った言葉に対してレオナルドは思わず笑ってしまった。
不快な酸味ではない。
肉料理の後に出てくる口直しの果物に似た酸味だ。
……甘くなってきた。
何度も噛んでいると徐々に甘みが出てくる不思議な果実だ。見た目はベリー系のようだったが、味は柑橘系に近く、妙に歯ごたえが良い。
「どうだ?」
ジェイドはレオナルドの反応が気になるだろう。
悪戯が成功した子どものような顔でレオナルドの返事を待つ。
「美味しいな」
「え? 本当か?」
「俺は好きな味だ。好みがわかれるとは思うけど」
レオナルドの感想を聞き、ジェイドは袋に手を入れる。
それから黄色の果実を探して摘み、覚悟を決めたような顔をして、口の中に入れた。
先ほどと同じように、酸っぱいということが隠しきれていない妙な表情を浮かべながら飲み込んだ。
「酸っぱい」
ジェイドは騙されたかのような目を向ける。
「好みの問題だろう」
レオナルドはその視線を気にすることはなく、もう一粒、黄色の果実を摘まんで口の中に入れた。
「……黄色を分けてやるよ」
「いらないなら受け取る」
「助かるよ。レオナルドは頼りになるな」
ジェイドは遠慮なく黄色の果実を摘まんでレオナルドの袋の中に入れる。
……直接、入れられるのではないかと警戒したんだが。
先週の出来事を考えると人目があるところでも暴走しかねない。
レオナルドがそのようなことを考えているとは知らないまま、ジェイドは袋の中に入っていた大量の黄色の果実を移動させている。
「そういえば、この果実の名前を見ていなかったな」
ジェイドは不意に思い出したのだろう。
「ふふっ、バカだな。これがイキシアの名物じゃないか」
「マジか。これが名物だったのかよ」
袋の中に苦手な黄色の果実が入っていないのか、念入りに確認しながら言った言葉に対してレオナルドは思わず笑ってしまった。
101
お気に入りに追加
2,429
あなたにおすすめの小説


悪役令息に転生しましたが、なんだか弟の様子がおかしいです
ひよ
BL
「今日からお前の弟となるルークだ」
そうお父様から紹介された男の子を見て前世の記憶が蘇る。
そして、自分が乙女ゲーの悪役令息リオンでありその弟ルークがヤンデレキャラだということを悟る。
最悪なエンドを迎えないよう、ルークに優しく接するリオン。
ってあれ、なんだか弟の様子がおかしいのだが。。。
初投稿です。拙いところもあると思いますが、温かい目で見てくださると嬉しいです!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる