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第二話「花は花でも彼女は毒花である」
04-6.信じたのは可憐な花か、毒花か
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「自分の目で見なければ説得をすることはできなかったからね。いつもダリアの後ろに着いて歩くような子だったから、説得すれば引き離せるかもっ思っていたけど、意外と頑固な子に育ったんだね」
「言葉に左右されるような人間は一族にはいないよ」
「そうだね。だから、僕も困っているんだけど」
「なぜ?」
「ダリアが暴走をした時には止める方法がないからだよ。可愛がっている弟にすら発砲するような過激な女性を言葉だけで宥めるなんて至難の業だと思わない?」
「申し訳なく思っているよ。可能な限りは冷静でいるように努めよう」
話している間にもジェイドは足を止めていなかった。
ルイスとキスをしているライラックは気付いていないのだろうか。
「うん。せめて彼女が絡む時は魔法だけにしてね」
「それは約束できない」
「どうして? 一年生に負けるような実力じゃないでしょ」
「相性にもよるだろう。その時に応じて武器を変えるのは常識だよ」
パーシヴァルの眼が冷たい。
おかしいことを言っただろうか。
「頭の中まで筋肉で出来ているのかな? 実力主義とはいっても令嬢だよね? 社交界の華とか言われていたことだってあったよね? それなのにどうしてそういう発想になるの?」
「不測の事態が起きた場合、足手纏いを庇いながらの応戦することになるのが前提だったからだろうね」
「一応、まだ、婚約をしている相手のことを足手纏いって呼ぶのは止めようよ」
「事実を口にしただけだ」
「あー……、なんだろう。君たちが不仲の原因を見てしまった気がするよ」
「不仲の原因? 性格の不一致により互いへの嫌悪感だろう」
「いや、それ以上のものがあると思うよ」
悟ったような顔をしている。
私たちの不仲の原因に興味でもあるのだろうか? 変わった趣味をしている。
「きっと、ダリアにはジェイドの気持ちはわからないのだろうね」
「どうだろうね、ただ、弟が傷つくのは悲しいよ」
「そう。せめて家族に対しては普通の感性を持っているようでよかったよ」
ジェイドは傷ついただろう。悲しい思いをしたことだろう。
そうすることが正しかったのか、私にはわからなかった。
「言葉に左右されるような人間は一族にはいないよ」
「そうだね。だから、僕も困っているんだけど」
「なぜ?」
「ダリアが暴走をした時には止める方法がないからだよ。可愛がっている弟にすら発砲するような過激な女性を言葉だけで宥めるなんて至難の業だと思わない?」
「申し訳なく思っているよ。可能な限りは冷静でいるように努めよう」
話している間にもジェイドは足を止めていなかった。
ルイスとキスをしているライラックは気付いていないのだろうか。
「うん。せめて彼女が絡む時は魔法だけにしてね」
「それは約束できない」
「どうして? 一年生に負けるような実力じゃないでしょ」
「相性にもよるだろう。その時に応じて武器を変えるのは常識だよ」
パーシヴァルの眼が冷たい。
おかしいことを言っただろうか。
「頭の中まで筋肉で出来ているのかな? 実力主義とはいっても令嬢だよね? 社交界の華とか言われていたことだってあったよね? それなのにどうしてそういう発想になるの?」
「不測の事態が起きた場合、足手纏いを庇いながらの応戦することになるのが前提だったからだろうね」
「一応、まだ、婚約をしている相手のことを足手纏いって呼ぶのは止めようよ」
「事実を口にしただけだ」
「あー……、なんだろう。君たちが不仲の原因を見てしまった気がするよ」
「不仲の原因? 性格の不一致により互いへの嫌悪感だろう」
「いや、それ以上のものがあると思うよ」
悟ったような顔をしている。
私たちの不仲の原因に興味でもあるのだろうか? 変わった趣味をしている。
「きっと、ダリアにはジェイドの気持ちはわからないのだろうね」
「どうだろうね、ただ、弟が傷つくのは悲しいよ」
「そう。せめて家族に対しては普通の感性を持っているようでよかったよ」
ジェイドは傷ついただろう。悲しい思いをしたことだろう。
そうすることが正しかったのか、私にはわからなかった。
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