39 / 41
第二話「呪われた動画配信者」
01-34.
しおりを挟む
太一も驚いたような声を上げつつ、非難はしない。
「この村は存在しませーん」
「趣旨を考えろ。やめろ。そういう発言は炎上の元になる」
「いやいや、そうはいってもマジなんだって」
正樹は諦めたかのようにため息をこぼした。
そして、カメラから距離を取る。
「今から目の前の比較的新しい家の中に入っていくんだけど」
視線を太一に向ける。
「大ちゃん」
「なんだよ」
「驚かないで聞いてほしい」
「いまさら、何を聞いても驚かないから」
太一は正樹がなにを企んでいるのか、検討もつかない。しかし、目の前にある不自然なほどに綺麗に形を保っている家にカメラを向け、諦めたような顔をする。
「この家には秘密があるんだ」
正樹は真面目な顔で語る。
「今から秘密を見に行こう!」
正樹は迷うことなく、敷地内に足を踏み入れる。
鍵もかけられていない玄関の扉に手をかけ、迷うことなく、開けた。
「誰かが入った跡があるな」
玄関は泥だらけだ。
なにかを引きずったような土の跡が廊下に描かれており、靴の跡が複数にある。
どれも新しいものばかりだ。
「土だらけだなー」
正樹は脳天気な声を上げる。
まるで知人の家に遊びに来たかのような警戒心のなさと、靴も脱がずに堂々と廊下を歩いていく姿は不気味だ。
「……やばいんじゃないか?」
「それこそ、いまさらじゃね?」
「それはそうだが。……嫌な予感しかしないんだよ」
太一はカメラを廊下の先にある部屋の扉に向ける。
一軒家なのにもかかわらず、部屋は一つしかない。廊下だけが長く、二階に続くはずの階段もない。
不気味な家だった。
「この村は存在しませーん」
「趣旨を考えろ。やめろ。そういう発言は炎上の元になる」
「いやいや、そうはいってもマジなんだって」
正樹は諦めたかのようにため息をこぼした。
そして、カメラから距離を取る。
「今から目の前の比較的新しい家の中に入っていくんだけど」
視線を太一に向ける。
「大ちゃん」
「なんだよ」
「驚かないで聞いてほしい」
「いまさら、何を聞いても驚かないから」
太一は正樹がなにを企んでいるのか、検討もつかない。しかし、目の前にある不自然なほどに綺麗に形を保っている家にカメラを向け、諦めたような顔をする。
「この家には秘密があるんだ」
正樹は真面目な顔で語る。
「今から秘密を見に行こう!」
正樹は迷うことなく、敷地内に足を踏み入れる。
鍵もかけられていない玄関の扉に手をかけ、迷うことなく、開けた。
「誰かが入った跡があるな」
玄関は泥だらけだ。
なにかを引きずったような土の跡が廊下に描かれており、靴の跡が複数にある。
どれも新しいものばかりだ。
「土だらけだなー」
正樹は脳天気な声を上げる。
まるで知人の家に遊びに来たかのような警戒心のなさと、靴も脱がずに堂々と廊下を歩いていく姿は不気味だ。
「……やばいんじゃないか?」
「それこそ、いまさらじゃね?」
「それはそうだが。……嫌な予感しかしないんだよ」
太一はカメラを廊下の先にある部屋の扉に向ける。
一軒家なのにもかかわらず、部屋は一つしかない。廊下だけが長く、二階に続くはずの階段もない。
不気味な家だった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
S県児童連続欠損事件と歪人形についての記録
幾霜六月母
ホラー
198×年、女子児童の全身がばらばらの肉塊になって亡くなるという傷ましい事故が発生。
その後、連続して児童の身体の一部が欠損するという事件が相次ぐ。
刑事五十嵐は、事件を追ううちに森の奥の祠で、組み立てられた歪な肉人形を目撃する。
「ーーあの子は、人形をばらばらにして遊ぶのが好きでした……」
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ゾンビだらけの世界で俺はゾンビのふりをし続ける
気ままに
ホラー
家で寝て起きたらまさかの世界がゾンビパンデミックとなってしまっていた!
しかもセーラー服の可愛い女子高生のゾンビに噛まれてしまう!
もう終わりかと思ったら俺はゾンビになる事はなかった。しかもゾンビに狙われない体質へとなってしまう……これは映画で見た展開と同じじゃないか!
てことで俺は人間に利用されるのは御免被るのでゾンビのフリをして人間の安息の地が完成するまでのんびりと生活させて頂きます。
ネタバレ注意!↓↓
黒藤冬夜は自分を噛んだ知性ある女子高生のゾンビ、特殊体を探すためまず総合病院に向かう。
そこでゾンビとは思えない程の、異常なまでの力を持つ別の特殊体に出会う。
そこの総合病院の地下ではある研究が行われていた……
"P-tB"
人を救う研究のはずがそれは大きな厄災をもたらす事になる……
何故ゾンビが生まれたか……
何故知性あるゾンビが居るのか……
そして何故自分はゾンビにならず、ゾンビに狙われない孤独な存在となってしまったのか……
祓い屋・彼岸堂 怪異奇譚
如月 仍
ホラー
神無木 蒼波[かんなぎ あおば]の眼には、
他人には見えないモノが〈視える〉──。
春休み明け、四月某日。教授である朝香の混沌とした部屋で見つけたのは、いわく付きの寄木細工の秘密箱だった。
人生、果たして何度目か。怪異にまつわる面倒事に巻き込まれた蒼波は、箱の持ち主である九十九里 咲月[つくもり さつき]の元へと赴くことになる。
ひっそりとした商店街の一角で〈彼岸堂〉という名の古本屋を営む彼女は、古本屋店主の表の顔とは別に〈祓い屋〉としての裏の顔も持っていた。
神無木 蒼波は、単に怪異に寄り憑かれやすいだけでは無い。
彼と共に過ごしたのは、たったの数時間。
それでも。蒼波にとっても、咲月にとっても。
この出会いは、運命に等しかった。
「それを活かして、私の助手をやらない?その代わり。ここで働く間は、キミが求める普通の暮らしを保証しよう。時給3000円、破格だと思うよ?」
蒼波の潜在的な能力に気付いた咲月は、
とんでもない誘いをもちかけたのであった──。
Illustrator・アメユジ様
[HP]https://ameyuji.myportfolio.com/
[Twitter ID]@ameyuji22
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
体裁を整えるため、一旦削除しました。
なお、他サイトでも連載中です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる