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第二話「呪われた動画配信者」
01-18.
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カメラを彰に向ける。
それすらも気づいていないのだろうか。
彰はただ一点を見つめているだけだった。
「……お兄、ちゃん」
美加の声は震えていた。
二人は仲の良い兄妹だった。
彰は美加を可愛がり、美加は彰と一緒にいることを好んだ。歳が近いこともあり、二人だけで旅行に行くほどに仲が良かった。
「お兄ちゃん!」
大きな声を上げる。
しかし、手を掴むことはできなかった。
「ミカちゃん。俺の後ろに隠れてくれ」
正樹は美香の腕を引っ張り、彰と距離を取らせる。
いつもならば、彰は美加に触っている正樹に対して毒の籠もった冷たい言葉を口にするはずだ。
それがなかった。彰は一点を見つめているだけだ。
呼ばれていることにも気づかず、放心状態に陥っているようにも見える。
「みんな、大変だ。今度はあーくんがおかしくなった!」
正樹は視線を彰から反らすことなく、実況をする。
「どうやって地面に潜ったのか? 何がしたかったのか?」
この状況を楽しんでいた。
おかしいと頭では理解をしているのにもかかわらず、正樹は止まることができない。
配信を続け、視聴率は上がっていく。
様々なSNSで拡散され、ネットのトレンドに名前が連なっていく。
それは正樹たちから冷静さを奪い、この異常な空間から逃げ出すという選択肢を簡単に消し去ってしまっていた。
「あーくん!」
恐怖よりも興奮が勝ったのだろう。
「君は一体なんなんだ!?」
正樹の言葉を待っていたかのように、太一は唾液を飲み込んだ。
緊張しているのか、怯えているのか。
それとも、正樹と同じように興奮をしているのか。
複雑に絡み合った感情を隠しきれていなかった。
「……」
彰は無言だった。
それすらも気づいていないのだろうか。
彰はただ一点を見つめているだけだった。
「……お兄、ちゃん」
美加の声は震えていた。
二人は仲の良い兄妹だった。
彰は美加を可愛がり、美加は彰と一緒にいることを好んだ。歳が近いこともあり、二人だけで旅行に行くほどに仲が良かった。
「お兄ちゃん!」
大きな声を上げる。
しかし、手を掴むことはできなかった。
「ミカちゃん。俺の後ろに隠れてくれ」
正樹は美香の腕を引っ張り、彰と距離を取らせる。
いつもならば、彰は美加に触っている正樹に対して毒の籠もった冷たい言葉を口にするはずだ。
それがなかった。彰は一点を見つめているだけだ。
呼ばれていることにも気づかず、放心状態に陥っているようにも見える。
「みんな、大変だ。今度はあーくんがおかしくなった!」
正樹は視線を彰から反らすことなく、実況をする。
「どうやって地面に潜ったのか? 何がしたかったのか?」
この状況を楽しんでいた。
おかしいと頭では理解をしているのにもかかわらず、正樹は止まることができない。
配信を続け、視聴率は上がっていく。
様々なSNSで拡散され、ネットのトレンドに名前が連なっていく。
それは正樹たちから冷静さを奪い、この異常な空間から逃げ出すという選択肢を簡単に消し去ってしまっていた。
「あーくん!」
恐怖よりも興奮が勝ったのだろう。
「君は一体なんなんだ!?」
正樹の言葉を待っていたかのように、太一は唾液を飲み込んだ。
緊張しているのか、怯えているのか。
それとも、正樹と同じように興奮をしているのか。
複雑に絡み合った感情を隠しきれていなかった。
「……」
彰は無言だった。
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