22 / 41
第二話「呪われた動画配信者」
01-17.
しおりを挟む
手が汚れることも、爪の中に土が入ることも気にしてはいられなかった。
太一はカメラを地面に向けた。
地面からまだ辛うじて動いている手が見えている。手以外は埋もれているようだったが、まだ、生きている。
「これを使え!」
倒れている墓石を踏みつけ、強引に花入れを破壊する。手入れされず、古びていたのだろうか。
歪な形にはなっているものの、素手で地面を掘るよりはいいだろう。
太一は正樹に花入れを二つ渡す。
隣に倒れている墓石も踏みつけ、再び、花入れを破壊しようとするものの、なかなか外れない。太一は花入れを諦め、落ちていた手のひら程度の大きさの石を掴み、正樹と一緒に地面を掘る。
地面に置かれたカメラには二人の必死な形相がはっきりと映されていた。
「あーくん!」
頭が見えた。
なぜ、地面の中に埋もれているのか。
なぜ、生き埋めのまま、生きているのか。
謎は多いものの、気にしている余裕はない。
「もう少し耐えろよ!」
太一も必死に地面を掘る。
火事場の馬鹿力だろうか。通常ではありえない速さで地面を掘り起こしていく。
「助けるからな!」
正樹の声に応えるように手が動いた。
首まで掘り起こすと、呼吸ができるようになったのだろう。彰は何度も咳き込んだ。
正樹と太一は、彰の腕を掴み、地面の中から引き上げる。
地面の中にいたことにより、体温を奪われたのだろうか。青白い顔をしており、言葉を発しない。
強引に引き上げられた彰は無言のまま、立ち上がり、一点を見つめていた。土を払うこともせず、表情一つ変わらない。
「あーくん?」
正樹は恐る恐る声をかける。
得体のしれない現象が起きていることを認識し始めたのだろう。
何度も瞬きをしながら彰を見つめている正樹は、彰の腕を離す。太一も正樹の行動に釣られるように彰の腕を離し、数歩を下がった。
太一はカメラを地面に向けた。
地面からまだ辛うじて動いている手が見えている。手以外は埋もれているようだったが、まだ、生きている。
「これを使え!」
倒れている墓石を踏みつけ、強引に花入れを破壊する。手入れされず、古びていたのだろうか。
歪な形にはなっているものの、素手で地面を掘るよりはいいだろう。
太一は正樹に花入れを二つ渡す。
隣に倒れている墓石も踏みつけ、再び、花入れを破壊しようとするものの、なかなか外れない。太一は花入れを諦め、落ちていた手のひら程度の大きさの石を掴み、正樹と一緒に地面を掘る。
地面に置かれたカメラには二人の必死な形相がはっきりと映されていた。
「あーくん!」
頭が見えた。
なぜ、地面の中に埋もれているのか。
なぜ、生き埋めのまま、生きているのか。
謎は多いものの、気にしている余裕はない。
「もう少し耐えろよ!」
太一も必死に地面を掘る。
火事場の馬鹿力だろうか。通常ではありえない速さで地面を掘り起こしていく。
「助けるからな!」
正樹の声に応えるように手が動いた。
首まで掘り起こすと、呼吸ができるようになったのだろう。彰は何度も咳き込んだ。
正樹と太一は、彰の腕を掴み、地面の中から引き上げる。
地面の中にいたことにより、体温を奪われたのだろうか。青白い顔をしており、言葉を発しない。
強引に引き上げられた彰は無言のまま、立ち上がり、一点を見つめていた。土を払うこともせず、表情一つ変わらない。
「あーくん?」
正樹は恐る恐る声をかける。
得体のしれない現象が起きていることを認識し始めたのだろう。
何度も瞬きをしながら彰を見つめている正樹は、彰の腕を離す。太一も正樹の行動に釣られるように彰の腕を離し、数歩を下がった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ルール
新菜いに/丹㑚仁戻
ホラー
放課後の恒例となった、友達同士でする怪談話。
その日聞いた怪談は、実は高校の近所が舞台となっていた。
主人公の亜美は怖がりだったが、周りの好奇心に押されその場所へと向かうことに。
その怪談は何を伝えようとしていたのか――その意味を知ったときには、もう遅い。
□第6回ホラー・ミステリー小説大賞にて奨励賞をいただきました□
※章ごとに登場人物や時代が変わる連作短編のような構成です(第一章と最後の二章は同じ登場人物)。
※結構グロいです。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
©2022 新菜いに
甘いマスクは、イチゴジャムがお好き
猫宮乾
ホラー
人間の顔面にはり付いて、その者に成り代わる〝マスク〟という存在を、見つけて排除するのが仕事の特殊捜査局の、梓藤冬親の日常です。※サクサク人が死にます。【完結済】
フランソワーズの耳
猫又
ホラー
主婦、有明伽耶子、ある日突然、他人の思惑、心の声が聞こえるようになってしまった
優しくて働き者の夫、頼りになる義母、物静かな義父。
さらに仲良く家族ぐるみで仲良くしていたご近所達。
さらには犬や猫、鳥までのさえずりが理解出来てしまいパニック状態。
酷い本心、罵詈雑言を吐き出すのは誰か?
伽耶子はそれらとどう戦うのか?
関係は元に戻れるのか?
禁踏区
nami
ホラー
月隠村を取り囲む山には絶対に足を踏み入れてはいけない場所があるらしい。
そこには巨大な屋敷があり、そこに入ると決して生きて帰ることはできないという……
隠された道の先に聳える巨大な廃屋。
そこで様々な怪異に遭遇する凛達。
しかし、本当の恐怖は廃屋から脱出した後に待ち受けていた──
都市伝説と呪いの田舎ホラー
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる