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第二話「呪われた動画配信者」
01-17.
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手が汚れることも、爪の中に土が入ることも気にしてはいられなかった。
太一はカメラを地面に向けた。
地面からまだ辛うじて動いている手が見えている。手以外は埋もれているようだったが、まだ、生きている。
「これを使え!」
倒れている墓石を踏みつけ、強引に花入れを破壊する。手入れされず、古びていたのだろうか。
歪な形にはなっているものの、素手で地面を掘るよりはいいだろう。
太一は正樹に花入れを二つ渡す。
隣に倒れている墓石も踏みつけ、再び、花入れを破壊しようとするものの、なかなか外れない。太一は花入れを諦め、落ちていた手のひら程度の大きさの石を掴み、正樹と一緒に地面を掘る。
地面に置かれたカメラには二人の必死な形相がはっきりと映されていた。
「あーくん!」
頭が見えた。
なぜ、地面の中に埋もれているのか。
なぜ、生き埋めのまま、生きているのか。
謎は多いものの、気にしている余裕はない。
「もう少し耐えろよ!」
太一も必死に地面を掘る。
火事場の馬鹿力だろうか。通常ではありえない速さで地面を掘り起こしていく。
「助けるからな!」
正樹の声に応えるように手が動いた。
首まで掘り起こすと、呼吸ができるようになったのだろう。彰は何度も咳き込んだ。
正樹と太一は、彰の腕を掴み、地面の中から引き上げる。
地面の中にいたことにより、体温を奪われたのだろうか。青白い顔をしており、言葉を発しない。
強引に引き上げられた彰は無言のまま、立ち上がり、一点を見つめていた。土を払うこともせず、表情一つ変わらない。
「あーくん?」
正樹は恐る恐る声をかける。
得体のしれない現象が起きていることを認識し始めたのだろう。
何度も瞬きをしながら彰を見つめている正樹は、彰の腕を離す。太一も正樹の行動に釣られるように彰の腕を離し、数歩を下がった。
太一はカメラを地面に向けた。
地面からまだ辛うじて動いている手が見えている。手以外は埋もれているようだったが、まだ、生きている。
「これを使え!」
倒れている墓石を踏みつけ、強引に花入れを破壊する。手入れされず、古びていたのだろうか。
歪な形にはなっているものの、素手で地面を掘るよりはいいだろう。
太一は正樹に花入れを二つ渡す。
隣に倒れている墓石も踏みつけ、再び、花入れを破壊しようとするものの、なかなか外れない。太一は花入れを諦め、落ちていた手のひら程度の大きさの石を掴み、正樹と一緒に地面を掘る。
地面に置かれたカメラには二人の必死な形相がはっきりと映されていた。
「あーくん!」
頭が見えた。
なぜ、地面の中に埋もれているのか。
なぜ、生き埋めのまま、生きているのか。
謎は多いものの、気にしている余裕はない。
「もう少し耐えろよ!」
太一も必死に地面を掘る。
火事場の馬鹿力だろうか。通常ではありえない速さで地面を掘り起こしていく。
「助けるからな!」
正樹の声に応えるように手が動いた。
首まで掘り起こすと、呼吸ができるようになったのだろう。彰は何度も咳き込んだ。
正樹と太一は、彰の腕を掴み、地面の中から引き上げる。
地面の中にいたことにより、体温を奪われたのだろうか。青白い顔をしており、言葉を発しない。
強引に引き上げられた彰は無言のまま、立ち上がり、一点を見つめていた。土を払うこともせず、表情一つ変わらない。
「あーくん?」
正樹は恐る恐る声をかける。
得体のしれない現象が起きていることを認識し始めたのだろう。
何度も瞬きをしながら彰を見つめている正樹は、彰の腕を離す。太一も正樹の行動に釣られるように彰の腕を離し、数歩を下がった。
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