動画配信者が消えた

佐倉海斗

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第二話「呪われた動画配信者」

01-14.

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「足?」

 太一は美加の足元にカメラを向ける。

 ズボンは土で汚れている。

 なにかにぶつかったのだろうか。血のようなものもついている。

「動物の死骸でもあったんじゃないか?」

 山奥の廃村ならば、あったとしてもおかしくはない。

「よし! 見に行こう!」

 正樹は元気よく言った。

「美加。兄ちゃんも見てくるけど、待ってるか?」

「いや!」

「……怖いんだろ? また行くんだぞ?」

「一人よりいいもん!」

 美加は涙を拭いながら、彰から離れた。

 左手はしっかりと彰の腕に巻きつき、何があっても離れないと言いたげな顔をしている。

「足元に気をつけろよー」

 先頭を歩く正樹は懐中電灯で地面を照らしながら、進んでいく。

 管理する人がいないのが嘘のように整備をされており、所々、枯れている花らしきものが墓の周りに置かれている。

「手入れをされてるみたいだ」

 正樹も違和感を抱いたようだ。

「花瓶みたいなやつの中には水が入ってる」

「よく覗けるな。腐ってるだろ」

「んー? いや、変な臭いはしないし」

 墓石に飾られていた花立てを覗き込む。

 水は濁っておらず、手入れをされているようにも見える。

「取れないし」

 正樹は花立てを引っ張ってみるが、取れそうもない。老朽化が進んでいる村にもかかわらず、墓だけは手入れをしている人がいるのだろうか。

「普通は取れねーだろ」

 彰は呆れたように言った。

「壁に触っただけで家が壊れただろ?」

「元々壊れてただろ」

「そうだけどさ! 墓だってボロボロになるだろ!?」

 正樹の言葉に対し、彰は首を横に振った。

 墓石は丈夫だ。放置されているわけでもなければ、簡単には壊れないだろう。
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