動画配信者が消えた

佐倉海斗

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第二話「呪われた動画配信者」

01-10.

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「そこ! いちゃつくな!」

 正樹は怒っているような表情を作るものの、笑いが隠せていない。

「お化けはカップル嫌いだからな?」

「どこ情報だよ。それ」

「俺情報!」

 終始ふざけたまま、道を歩いている。

 太一の足が止まった。

 裸眼で見るとただの廃墟だが、カメラ越しに見ると景色が変わっている。それに気づいてしまった太一の顔色が悪くなる。

「大ちゃん?」

 正樹は太一の様子がおかしいことに気づいたようだ。

「なんかあったのか?」

 その目は期待に満ちていた。

 家が隣同士の同級生ということもあり、性格が合わないことがあっても、なんだかんだ言いつつ、一緒に過ごしてきた幼馴染みだ。

 だからこそ、太一は恐怖を抱いたのだろう。

「……三人とも、怒らないで聞いてくれ」

 太一は覚悟を決めたように話し始めた。

「コメント欄が荒れてるんだ。さっきから、ずっと同じことを書く人がいて。それに同調するコメントが増え続けてる」

 カメラを片手に持ちながら、器用に私物の携帯電話を弄り、コメントを確認していたようだ。

「マッキーの後ろに見える墓になにかいるみたいだ」

 コメントを信用したわけではない。

 からかうような内容も何件も混ざっている。中には正樹の対応の悪さや発言について批判的な内容も多い。

「カメラ越しだと変なものが見えるんだ。気をつけて確認をしてくれ」

 それに対しては見ないふりをした。

「任せとけ!」

 正樹は元気な声で返事をした。

「本当にいるんだな」

 彰は何を思ったのか。鞄から携帯電話を取り出し、風景の写真を取り始める。

「撮れた!」

 そして、それをカメラに見せつける。

「……なにを撮ったんだ?」

 太一は微妙な顔をして言った。
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