動画配信者が消えた

佐倉海斗

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第二話「呪われた動画配信者」

01-7.

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「うわっ」

 彰は思わず声を上げる。

 半壊した民家の壁には、解読するためには時間がかかりそうな文字が書かれた。太一は近寄って一文字づつ画面に映していく。それからゆっくりと下がり、全体を映す。

「血文字っぽくね?」

 正樹は興奮した表情で言った。

 所々、変色をした血のような色をしている。昔に書かれたものなのか、見慣れない漢字のようなものが壁一面に書かれている。

「これ、ランランの血だったりして」

 正樹は笑いながら言ったものの、冷めた目を向けられていることに気づき、誤魔化すようにわざとらしい咳をした。

「視聴率は!?」

 先程の発言をごまかすように、正樹は彰に視線を向けた。

「おお。やばい」

 彰は愛用している携帯電話の画面を触る。慣れた手付きで配信中の動画を見つけると口角が上がる。

「一万回を超えそう」

「は? マジで?」

「マジ。初一万回超えだし、コメント数が異常に増えてる」

 彰の言葉を聞き、正樹は両手を上げて喜びを表現する。その場で三回ほど両手を上げながら回ると、姿勢を崩し、壁にぶつかった。

「いててっ」

 何事もなかったように壁から距離を取る。

 その三秒後。半壊していた民家は軋み始め、あっという間に全壊してしまった。埃が舞い上がり、目を開けていられないほどに煙たくなる。

「けほっ、けほっ」

 高い音の咳をする。

 埃に反応をしたのだろう。美加は苦しそうに咳をしていた。

「大丈夫か?」

 彰は美加を気遣うかのように声をかける。

 それに応じるように美加も苦しそうな咳を繰り返しながら、何度も頷いた。

「他のとこに行こーぜ!」

 彰は美加を休ませたいのだろう。

 その言葉に対し、正樹は不思議そうな顔をした。まるで知らない言葉を言われたような表情だ。
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