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第二話「呪われた動画配信者」
01-5.
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まるで蘭を逃がすわけにはいかないというかのように、蘭の体は土の中に引きずり込まれていった。
僅か十秒のことだった。
蘭の姿が見えなくなった。蘭を引きずり込んだ地面は先程と変わらず、水分を含んでいるのか、濡れている。
穴が掘られているわけでもなく、どこかに蘭が隠れているわけでもない。
「……は?」
彰は何度も瞬きをした。
「誰か、ドッキリ企画した?」
理解のできないことが起きた。
彰の問いかけに対し、全員、首を左右に振る。
「だよなー」
彰は蘭がいた場所に目を向け、口を閉じた。
「……やばくないか?」
太一は地面に置かれた照明を手に取る。
カメラを回しながら、照明を扱うのは困難であると判断をしたのだろう。照明の電源を落とした。
「やばい?」
正樹は理解ができないというかのように聞き返した。
「なにがやばいんだよ」
太一の手から照明を奪う。
そして、当然のように地面に置いた。
時刻は午後八時を過ぎているとはいえ、雲ひとつなく、いつもより大きく見える満月の光は明るい。照明がなくとも、動画配信を続けることはできるだろう。
「これはチャンスだ。俺たちを見てる人たちがいる限り、配信は続ける」
正樹はズボンのポケットから最新機種の携帯電話を取り出し、慣れた手付きでSNSを開く。
「見ろよ。これ!」
カメラに映すように見せつける。
携帯電話の画面にはSNSのトレンドランキングが映っている。
トレンド一位になっている『まあた』は正樹たちのことだ。他のトレンドも『まあた』の動画配信に関することばかりが書かれていた。
「みんな、俺たちの配信を楽しみにしているんだ!」
正樹は興奮を隠せていなかった。
目の前で蘭が地面の中に引きずり込まれたことを忘れてしまったかのような勢いだ。太一は正樹の発言に対し、眉をひそめた。
僅か十秒のことだった。
蘭の姿が見えなくなった。蘭を引きずり込んだ地面は先程と変わらず、水分を含んでいるのか、濡れている。
穴が掘られているわけでもなく、どこかに蘭が隠れているわけでもない。
「……は?」
彰は何度も瞬きをした。
「誰か、ドッキリ企画した?」
理解のできないことが起きた。
彰の問いかけに対し、全員、首を左右に振る。
「だよなー」
彰は蘭がいた場所に目を向け、口を閉じた。
「……やばくないか?」
太一は地面に置かれた照明を手に取る。
カメラを回しながら、照明を扱うのは困難であると判断をしたのだろう。照明の電源を落とした。
「やばい?」
正樹は理解ができないというかのように聞き返した。
「なにがやばいんだよ」
太一の手から照明を奪う。
そして、当然のように地面に置いた。
時刻は午後八時を過ぎているとはいえ、雲ひとつなく、いつもより大きく見える満月の光は明るい。照明がなくとも、動画配信を続けることはできるだろう。
「これはチャンスだ。俺たちを見てる人たちがいる限り、配信は続ける」
正樹はズボンのポケットから最新機種の携帯電話を取り出し、慣れた手付きでSNSを開く。
「見ろよ。これ!」
カメラに映すように見せつける。
携帯電話の画面にはSNSのトレンドランキングが映っている。
トレンド一位になっている『まあた』は正樹たちのことだ。他のトレンドも『まあた』の動画配信に関することばかりが書かれていた。
「みんな、俺たちの配信を楽しみにしているんだ!」
正樹は興奮を隠せていなかった。
目の前で蘭が地面の中に引きずり込まれたことを忘れてしまったかのような勢いだ。太一は正樹の発言に対し、眉をひそめた。
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