7 / 41
第二話「呪われた動画配信者」
01-2.
しおりを挟む
「百年前までは村人がいたんだけど、ある日、突然、封鎖されてしまった」
正樹が語るのは今日の舞台になる廃村の話だ。
「ここには百二十三人の村人が住んでいた」
近くに立っている廃墟を指さす。
「でも、ある日、みんないなくなってしまった」
廃村となってから、手入れをされることなく、放置をされているらしい家はボロボロになり、今にも崩れ落ちそうになっている。
「一人の殺人鬼によって、皆殺しにされてしまったんだ」
それは正樹たちが作った嘘の話だ。
照明が点滅する。照明を支えている女性、伊藤蘭の腕が震えている。
「俺たちは大量殺人が行われた廃墟で、一体、なにがあったのか。それを解き明かしたい! という思いで企画した特別編になりまーす!」
正樹は蘭の様子に気づいていなかった。
蘭の視線は正樹の後ろに向けられている。カメラ目線で話を続けている正樹は後ろ向きで歩いており、正樹の右隣を歩く彰は立ち並んでいる廃墟とかした家に気を取られていた為、蘭が見つけてしまったものに気づいていないのだろう。
「いなくなった村人は発見されず、まだ、この廃村の中にいるのではないかと思われます」
テレビを意識したかのような取り繕った話し方に対し、彰は思わず苦笑する。カメラを回している太一は声を押し殺すように笑っている為、映像は若干、揺れていることだろう。
「あっ」
蘭が声を上げた。
「ランラン?」
正樹は何かを見つけたのかと目を輝かした。
「さっそく、朗報ですよ! みなさん!」
正樹は気づいていない。
背後でなにかが彼らを見つめていた。闇に溶け込み、両目が不気味に光っている。背丈は正樹よりもあるだろう。
「ランランが見つめる先には!?」
大急ぎで振り返った正樹の目には、それは映らなかった。
薄暗い廃墟が広がっている。
荒れ果てた道、草が生えている畑、道を覆い尽くすように倒れている大木、今にも倒壊しそうな家。
事前に調べた通りの光景だ。
正樹が語るのは今日の舞台になる廃村の話だ。
「ここには百二十三人の村人が住んでいた」
近くに立っている廃墟を指さす。
「でも、ある日、みんないなくなってしまった」
廃村となってから、手入れをされることなく、放置をされているらしい家はボロボロになり、今にも崩れ落ちそうになっている。
「一人の殺人鬼によって、皆殺しにされてしまったんだ」
それは正樹たちが作った嘘の話だ。
照明が点滅する。照明を支えている女性、伊藤蘭の腕が震えている。
「俺たちは大量殺人が行われた廃墟で、一体、なにがあったのか。それを解き明かしたい! という思いで企画した特別編になりまーす!」
正樹は蘭の様子に気づいていなかった。
蘭の視線は正樹の後ろに向けられている。カメラ目線で話を続けている正樹は後ろ向きで歩いており、正樹の右隣を歩く彰は立ち並んでいる廃墟とかした家に気を取られていた為、蘭が見つけてしまったものに気づいていないのだろう。
「いなくなった村人は発見されず、まだ、この廃村の中にいるのではないかと思われます」
テレビを意識したかのような取り繕った話し方に対し、彰は思わず苦笑する。カメラを回している太一は声を押し殺すように笑っている為、映像は若干、揺れていることだろう。
「あっ」
蘭が声を上げた。
「ランラン?」
正樹は何かを見つけたのかと目を輝かした。
「さっそく、朗報ですよ! みなさん!」
正樹は気づいていない。
背後でなにかが彼らを見つめていた。闇に溶け込み、両目が不気味に光っている。背丈は正樹よりもあるだろう。
「ランランが見つめる先には!?」
大急ぎで振り返った正樹の目には、それは映らなかった。
薄暗い廃墟が広がっている。
荒れ果てた道、草が生えている畑、道を覆い尽くすように倒れている大木、今にも倒壊しそうな家。
事前に調べた通りの光景だ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
視える僕らのルームシェア
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
teikaoのオカルト広場
teikao
ホラー
オカルト短編集です。
ゾッとする話、不思議な話、恐怖の実話。
人工知能、オカルトちゃん(表紙の子)作成の怖い話、そしてまさかの、現実的「オカルト否定」も!?
有権者様からのホラーも掲載!真新しい恐怖があなたをお待ちしております_:(´ཀ`」 ∠):
まぁまぁ、せっかく来てくださったんですから、
ゆっくりしていってくださいな(^^)


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる