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第二話「呪われた動画配信者」
01-1.
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* * *
「みんなー! 今日は生中継でいきたいと思いまーす!」
慣れたようにカメラに向かって話し始めた正樹は立入禁止と書かれた紙を指さしながら、元気よく声を上げる。薄暗い廃墟と化した集落の入り口は照明に照らされ、不気味さが増している。
「大人気企画! 心霊スポットをガチで巡ってみた! 特別編!」
カメラを回している帽子を被った男性、山田太一に隠れるようにして手書きで書かれたカンペを出している女性、鈴木美加と目があった。
「えーっと。今日は特別編ということで!」
正樹は美加に手招きをする。
それが合図だったのだろう。美加は緊張をした表情でカンペを抱きしめながら、正樹の隣に立つ。
「あーくんの妹! ミカちゃんが初参戦! ついに男ばかりのむさ苦しいYouTuber【まあた】に可愛い子が来ましたー!」
正樹は美加の肩に腕を回しながら、カメラの先にいるであろう視聴者に対して見せつけるようにピースサインをする。
「あーくんそっくりの激かわ妹ちゃんの行動に注目」
「あーくん、棒読みすぎん?」
「ガチトーンということで」
施錠をしてある村の出入り口を強引に開けている男性、鈴木彰はカメラに手を振るう。その手には電気がついたままの懐中電灯があり、カメラを回している太一は眩しいと言いたげな顔をしていた。
「はい。じゃあ、さっそく、心霊スポット巡りしてきまーす!」
正樹は立入禁止の紙から手を離し、躊躇なく、開けられた出入り口に足を踏み入れる。
「マッキー」
「ん? さっそく、なんか見つけた?」
「いや。紹介してなくね?」
彰に言われ、正樹は忘れていたというかのような表情を作る。もちろん、事前に打ち合わせをした通りの演出である。
「忘れてたー!」
わざとらしく、声を上げる。
「今日、俺たち【まあさ】が来ているのは地元で有名な廃村! 村の名前は特定されると困るんで、秘密で!」
笑顔で話をしていく。
「みんなー! 今日は生中継でいきたいと思いまーす!」
慣れたようにカメラに向かって話し始めた正樹は立入禁止と書かれた紙を指さしながら、元気よく声を上げる。薄暗い廃墟と化した集落の入り口は照明に照らされ、不気味さが増している。
「大人気企画! 心霊スポットをガチで巡ってみた! 特別編!」
カメラを回している帽子を被った男性、山田太一に隠れるようにして手書きで書かれたカンペを出している女性、鈴木美加と目があった。
「えーっと。今日は特別編ということで!」
正樹は美加に手招きをする。
それが合図だったのだろう。美加は緊張をした表情でカンペを抱きしめながら、正樹の隣に立つ。
「あーくんの妹! ミカちゃんが初参戦! ついに男ばかりのむさ苦しいYouTuber【まあた】に可愛い子が来ましたー!」
正樹は美加の肩に腕を回しながら、カメラの先にいるであろう視聴者に対して見せつけるようにピースサインをする。
「あーくんそっくりの激かわ妹ちゃんの行動に注目」
「あーくん、棒読みすぎん?」
「ガチトーンということで」
施錠をしてある村の出入り口を強引に開けている男性、鈴木彰はカメラに手を振るう。その手には電気がついたままの懐中電灯があり、カメラを回している太一は眩しいと言いたげな顔をしていた。
「はい。じゃあ、さっそく、心霊スポット巡りしてきまーす!」
正樹は立入禁止の紙から手を離し、躊躇なく、開けられた出入り口に足を踏み入れる。
「マッキー」
「ん? さっそく、なんか見つけた?」
「いや。紹介してなくね?」
彰に言われ、正樹は忘れていたというかのような表情を作る。もちろん、事前に打ち合わせをした通りの演出である。
「忘れてたー!」
わざとらしく、声を上げる。
「今日、俺たち【まあさ】が来ているのは地元で有名な廃村! 村の名前は特定されると困るんで、秘密で!」
笑顔で話をしていく。
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