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第三話 賢妃の才能は底知れない
07-6.
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「賢妃様! キョンシーの首を刎ねなければなりません!」
嘉瑞の言葉に我に返った。
香月は慌てて立ち上がる。氷叡剣を握り直し、地面を蹴り上げる。
勇は香月が動いたことに反応を示さない。雲嵐の首を絞めたまま、動きが止まっている。
「雲嵐を離せ!」
香月は氷叡剣を勇の首元めがけて振るった。
勇は抵抗をしなかった。
役目が終わったかのように、首は地面に転がった。そして、体が凍り付き、そのまま、黒い煙となって氷と共に蒸発していく。
呆気なく、消えてしまった。
地面に叩きつけられた雲嵐は動かない。
目を見開いたまま、口から血を零したまま、なにも発しない。
「……雲嵐」
香月は雲嵐の名を呼んだ。
それに応える者はいない。
「死んでまで私を守れとは言っていないだろう」
香月は雲嵐の見開かれたままの目を、指で優しく閉じた。
首の骨を何度も折られたのだ。既に雲嵐の息は止まっていた。
香月の目から涙が零れ落ちる。その場に座り込んでしまった香月の手には氷叡剣があり、戦いの痕跡は消えていない。
キョンシーと化した陳勇が消滅したのか、確認しなければいけなかった。しかし、香月にはそれをする気力さえもなかった。
あの時、雲嵐が香月の腕を引っ張っていなければ、首を掴まれて死んでいたのは香月だった。キョンシーの異常なまでに強い握力で握られてしまえば、香月でも対処ができない。
それに雲嵐は気づいていた。
だからこそ、自ら、香月の前に出たのだ。
「雲嵐」
香月は涙を拭うことができなかった。
「約束を守ってくれよ」
香月の言葉が空しく響く。
二人だけの約束を知る者は香月しかいない。
木犀の花で作るお茶を送ると顔を真っ赤にして言っていた頃が懐かしく思えてしかたがない。後宮入りを祝ってくれているとは思えない泣きそうな表情をしていたことを、香月は忘れることができないだろう。
嘉瑞の言葉に我に返った。
香月は慌てて立ち上がる。氷叡剣を握り直し、地面を蹴り上げる。
勇は香月が動いたことに反応を示さない。雲嵐の首を絞めたまま、動きが止まっている。
「雲嵐を離せ!」
香月は氷叡剣を勇の首元めがけて振るった。
勇は抵抗をしなかった。
役目が終わったかのように、首は地面に転がった。そして、体が凍り付き、そのまま、黒い煙となって氷と共に蒸発していく。
呆気なく、消えてしまった。
地面に叩きつけられた雲嵐は動かない。
目を見開いたまま、口から血を零したまま、なにも発しない。
「……雲嵐」
香月は雲嵐の名を呼んだ。
それに応える者はいない。
「死んでまで私を守れとは言っていないだろう」
香月は雲嵐の見開かれたままの目を、指で優しく閉じた。
首の骨を何度も折られたのだ。既に雲嵐の息は止まっていた。
香月の目から涙が零れ落ちる。その場に座り込んでしまった香月の手には氷叡剣があり、戦いの痕跡は消えていない。
キョンシーと化した陳勇が消滅したのか、確認しなければいけなかった。しかし、香月にはそれをする気力さえもなかった。
あの時、雲嵐が香月の腕を引っ張っていなければ、首を掴まれて死んでいたのは香月だった。キョンシーの異常なまでに強い握力で握られてしまえば、香月でも対処ができない。
それに雲嵐は気づいていた。
だからこそ、自ら、香月の前に出たのだ。
「雲嵐」
香月は涙を拭うことができなかった。
「約束を守ってくれよ」
香月の言葉が空しく響く。
二人だけの約束を知る者は香月しかいない。
木犀の花で作るお茶を送ると顔を真っ赤にして言っていた頃が懐かしく思えてしかたがない。後宮入りを祝ってくれているとは思えない泣きそうな表情をしていたことを、香月は忘れることができないだろう。
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