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第三話 賢妃の才能は底知れない
05-9.
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「徳妃。四夫人は平等だ」
「違います、陛下。徳妃は三番目、賢妃は四番目です」
「それは公のものだ。実際の扱いは違う」
俊熙の言葉に対し、万姫は反抗的に言い返す。
気に入らないことがあれば、なにもかも投げ出す癖があった。
「陛下。陛下が寵愛するべきなのは、朱家の出身であるあたしです」
万姫は甘えるような口調を止めた。
「徳妃こそが皇后に――」
「それ以上の言葉は聞きたくない」
万姫の訴えを俊熙は遮った。
……皇后になりたかったのか。
四夫人の中から皇后が選ばれる可能性は低い。四夫人は寵愛を受けて選ばれているのではなく、四大世家から守護結界を維持する為だけに選出されているだけである。
そこに皇帝の寵愛は与えられなかった。
閉じ込められた籠の中の鳥のように、飼い殺しにあうだけだ。
「他家を敵に回したくなければ、無駄な夢を見るのは止めろ」
俊熙は冷たい言葉をかけて、再び歩き出した。
香月の腕を掴み、強引に香月を連れて行く。
「……香月お姉さま」
万姫は地を這うような声で香月を呼んだ。
それに振り返ることさえもできない。
「あたしの提案を断ったこと、泣くまで許しませんからね」
万姫は茶会の時の顔とは違った。
茶会の席では香月を姉のように慕い、その功績を称えないのはおかしいのだと言ってみせていた。誰よりも子どもらしく、無邪気に振る舞っていた。
……おそろしい。
その姿は作り物だったのだろう。
変貌の仕方に恐怖を覚えた。
……あれが徳妃の本性か。
香月が泣いて詫びるまで攻撃の手を止むつもりはないのだろう。なにをしてくるのか、わからない。しかし、藍洙のように怨霊になってまで恨みを晴らそうとするほどに苛烈な嫌がらせが待っていることだろう。
「違います、陛下。徳妃は三番目、賢妃は四番目です」
「それは公のものだ。実際の扱いは違う」
俊熙の言葉に対し、万姫は反抗的に言い返す。
気に入らないことがあれば、なにもかも投げ出す癖があった。
「陛下。陛下が寵愛するべきなのは、朱家の出身であるあたしです」
万姫は甘えるような口調を止めた。
「徳妃こそが皇后に――」
「それ以上の言葉は聞きたくない」
万姫の訴えを俊熙は遮った。
……皇后になりたかったのか。
四夫人の中から皇后が選ばれる可能性は低い。四夫人は寵愛を受けて選ばれているのではなく、四大世家から守護結界を維持する為だけに選出されているだけである。
そこに皇帝の寵愛は与えられなかった。
閉じ込められた籠の中の鳥のように、飼い殺しにあうだけだ。
「他家を敵に回したくなければ、無駄な夢を見るのは止めろ」
俊熙は冷たい言葉をかけて、再び歩き出した。
香月の腕を掴み、強引に香月を連れて行く。
「……香月お姉さま」
万姫は地を這うような声で香月を呼んだ。
それに振り返ることさえもできない。
「あたしの提案を断ったこと、泣くまで許しませんからね」
万姫は茶会の時の顔とは違った。
茶会の席では香月を姉のように慕い、その功績を称えないのはおかしいのだと言ってみせていた。誰よりも子どもらしく、無邪気に振る舞っていた。
……おそろしい。
その姿は作り物だったのだろう。
変貌の仕方に恐怖を覚えた。
……あれが徳妃の本性か。
香月が泣いて詫びるまで攻撃の手を止むつもりはないのだろう。なにをしてくるのか、わからない。しかし、藍洙のように怨霊になってまで恨みを晴らそうとするほどに苛烈な嫌がらせが待っていることだろう。
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