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第三話 賢妃の才能は底知れない
02-11.
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しかし、翠蘭は気功を扱えないことを知らない皇帝は、翠蘭に武の舞を要求し、神聖な場所に立たせた。
その日、翠蘭は生きながら生命力を吸い取られる激痛を味わいながら、人々の見世物となり、命を落としたのだった。
* * *
神聖でなければならない舞台は穢れていた。
見鬼の才がある者ならば、ここで命を落とした者がいると、一目でわかるだろう。それほどの穢れがこびり付いていた。
「陛下。それ以上、進んではなりません」
香月は俊熙の歩みを止めさせる。
麒麟の加護は強い。穢れを簡単に吹き飛ばしてしまうだろう。
「では、香月はどうすると? 俺にはいつも通りにしか見えないが」
「穢れの場所に向かいます。そこにいるのは姉上の地縛霊でしょう」
「危険はないか?」
「ありません。話せればなによりも喜ばしいですが、無理なようでしたら、強制的に立ち退いていただきます」
香月の言葉を聞き、俊熙は頷いた。
……翠蘭姉上。
遠くでしか見たことがない三歳上の異母姉は、人の形を保っていた。舞台の上で立ち尽くしている姿は儚く、なぜ、そこに残っているのか、理解ができない。
舞の舞台に香月はあがる。
それにすらも気づかない翠蘭は半透明で綺麗な姿をしていた。
「翠蘭姉上」
香月は初めて異母姉の名を呼んだ。
その手には、いつ怨霊と化してもいいように、氷叡剣が握られている。
ゆっくりと翠蘭は振り返る。肌は透き通っており、目だけは虚ろだ。しかし、香月の姿を認識すると困ったような表情をして見せた。理性を手放していないのは神聖な場所に居続けていたからだろう。
「香月」
翠蘭ははっきりと香月の名を呼んだ。
「はい。翠蘭姉上」
香月はそれに対して返事をする。
……恨み言でもあるのか?
恨まれていてもしかたがないと思っていた。生まれ育った時に与えられた身分の格差はあまりにも大きすぎた。
その日、翠蘭は生きながら生命力を吸い取られる激痛を味わいながら、人々の見世物となり、命を落としたのだった。
* * *
神聖でなければならない舞台は穢れていた。
見鬼の才がある者ならば、ここで命を落とした者がいると、一目でわかるだろう。それほどの穢れがこびり付いていた。
「陛下。それ以上、進んではなりません」
香月は俊熙の歩みを止めさせる。
麒麟の加護は強い。穢れを簡単に吹き飛ばしてしまうだろう。
「では、香月はどうすると? 俺にはいつも通りにしか見えないが」
「穢れの場所に向かいます。そこにいるのは姉上の地縛霊でしょう」
「危険はないか?」
「ありません。話せればなによりも喜ばしいですが、無理なようでしたら、強制的に立ち退いていただきます」
香月の言葉を聞き、俊熙は頷いた。
……翠蘭姉上。
遠くでしか見たことがない三歳上の異母姉は、人の形を保っていた。舞台の上で立ち尽くしている姿は儚く、なぜ、そこに残っているのか、理解ができない。
舞の舞台に香月はあがる。
それにすらも気づかない翠蘭は半透明で綺麗な姿をしていた。
「翠蘭姉上」
香月は初めて異母姉の名を呼んだ。
その手には、いつ怨霊と化してもいいように、氷叡剣が握られている。
ゆっくりと翠蘭は振り返る。肌は透き通っており、目だけは虚ろだ。しかし、香月の姿を認識すると困ったような表情をして見せた。理性を手放していないのは神聖な場所に居続けていたからだろう。
「香月」
翠蘭ははっきりと香月の名を呼んだ。
「はい。翠蘭姉上」
香月はそれに対して返事をする。
……恨み言でもあるのか?
恨まれていてもしかたがないと思っていた。生まれ育った時に与えられた身分の格差はあまりにも大きすぎた。
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