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第三話 賢妃の才能は底知れない
02-3.
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* * *
充媛宮で首のない遺体が見つかったと明明から報告を受けた香月は、肩を落とした。同席していた俊熙も同様だ。香月以外はどうなろうともかまわないと言って見せたものの、実際、被害者が出るとは思わなかったのだろう。
「明明。充媛宮は忠実な者が多いはずだ。生き残りはいないのか」
「はい、陛下。恐れながら、全滅したとお伺いしております。詳しくは官吏が派遣した宦官たちによる調査をお待ちくださいませ」
「そうか。下がってよい」
俊熙の言葉を聞き、明明は頭を深く下げて、退室した。
充媛宮は警備に強化する為、宦官も雇っていたはずだ。訓練に明け暮れることを命じられている宦官たちの実力は本物であり、人間の侵入者を相手に後れを取らないはずである。
それらは瞬く間に全滅した。
充媛宮の侍女、官女、下女、すべてが殺されてしまった。
その事実は重く、怨霊の恐怖を後宮中に知らしめることになってしまった。
「怨霊が増える可能性はありえるか?」
「未練が残れば怨霊と化す可能性は高いでしょう。充媛宮そのものを怨霊の住みかと見なした方がいいかもしれません」
「封鎖をすればいいか?」
「いいえ。怨霊を封じ込め、後に、建物を破壊するのが確実でしょう」
香月は淡々と答える。
しかし、体が震えていた。
恐怖心を抱いていた。それを悟らせまいと淡々とした声を出してはいるものの、俊熙は見抜いているようで、香月を優しく抱きしめた。
……怨霊退治などしたことがない。
見鬼の才はあるものの、怨霊退治を任されたことはなかった。後宮は怨霊が彷徨う場所でもあるというのは事前の知識として知っていたが、実際に遭遇したことはない。
怨霊は理性を捨てている。
玄武宮に恨みを持っている黄藍洙は香月を狙うはずだ。
それなのに、どうして、充媛宮を襲ったのか、香月には理解ができなかった。
「馮充媛は黄藍洙と関りがありましたか?」
香月の問いかけに対し、俊熙は首を縦に振った。
……恨んでいたのか。
藍洙に恨まれることをしていたのだろう。
簡単に予想がつくのは藍洙が後宮妃に選ばれた経緯が特殊だったからだ。
充媛宮で首のない遺体が見つかったと明明から報告を受けた香月は、肩を落とした。同席していた俊熙も同様だ。香月以外はどうなろうともかまわないと言って見せたものの、実際、被害者が出るとは思わなかったのだろう。
「明明。充媛宮は忠実な者が多いはずだ。生き残りはいないのか」
「はい、陛下。恐れながら、全滅したとお伺いしております。詳しくは官吏が派遣した宦官たちによる調査をお待ちくださいませ」
「そうか。下がってよい」
俊熙の言葉を聞き、明明は頭を深く下げて、退室した。
充媛宮は警備に強化する為、宦官も雇っていたはずだ。訓練に明け暮れることを命じられている宦官たちの実力は本物であり、人間の侵入者を相手に後れを取らないはずである。
それらは瞬く間に全滅した。
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その事実は重く、怨霊の恐怖を後宮中に知らしめることになってしまった。
「怨霊が増える可能性はありえるか?」
「未練が残れば怨霊と化す可能性は高いでしょう。充媛宮そのものを怨霊の住みかと見なした方がいいかもしれません」
「封鎖をすればいいか?」
「いいえ。怨霊を封じ込め、後に、建物を破壊するのが確実でしょう」
香月は淡々と答える。
しかし、体が震えていた。
恐怖心を抱いていた。それを悟らせまいと淡々とした声を出してはいるものの、俊熙は見抜いているようで、香月を優しく抱きしめた。
……怨霊退治などしたことがない。
見鬼の才はあるものの、怨霊退治を任されたことはなかった。後宮は怨霊が彷徨う場所でもあるというのは事前の知識として知っていたが、実際に遭遇したことはない。
怨霊は理性を捨てている。
玄武宮に恨みを持っている黄藍洙は香月を狙うはずだ。
それなのに、どうして、充媛宮を襲ったのか、香月には理解ができなかった。
「馮充媛は黄藍洙と関りがありましたか?」
香月の問いかけに対し、俊熙は首を縦に振った。
……恨んでいたのか。
藍洙に恨まれることをしていたのだろう。
簡単に予想がつくのは藍洙が後宮妃に選ばれた経緯が特殊だったからだ。
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