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第三話 賢妃の才能は底知れない
01-9.
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氷のように透き通った剣が香月の前に現れる。玄家の始祖が仙人に与えられたという宝貝は、仙人になる資格を得た者だけが召喚することができる剣だ。
今生の持ち主は香月が選ばれた。
だからこそ、玄家は香月を後宮に渡すことを拒もうとしていたのだ。
……召喚に成功した。
玄家に伝わる剣舞を行うのは、剣が必要である。
剣があれば剣舞は舞える。しかし、ただ舞うだけでは守護結界の修復には繋がらない。
守護結界は気功を込めた舞を奉納しなければ、修復も現状を維持することもできないだろう。
それは氷叡剣でなければいけない。
香月はそれをわかっていたからこそ、安堵した。玄家を離れ、後宮妃となった香月は、氷叡剣の主人として認められている保証などなかったからだ。
「――ふぅ」
息を吐く。
地面を蹴り上げ、舞を踊る。
剣を振り回し、踊る。
その姿は玄家の守護である玄武のように二面性を秘めたものであり、見る者の視線を奪うほどに洗礼された動きだった。
剣で戦うかのように勇ましく、舞姫のように優雅に足元を動かす。
その動きは修練された者にしかできない。
……翠蘭姉上。
氷叡剣を空に向ける。
思う相手は非業の死を遂げた異母姉だ。
……貴女の無念は少しでも晴れただろうか。
黄藍洙は死んだ。
それは翠蘭を呪った相手が死んだことを意味していた。
……黄妃にはまだ聞かなければいけなかったのに。
死人に口なしとはまさにこのことだった。
無念を踊りに込める。
そうすれば、不思議と守護結界が淡い光を放ち始めた。
法術の才がある者や呪術の心得がある者ならば、その違和感を感じ取っていることだろう。
香月の舞は奉納の価値があった。
守護結界はそれを認めたのだ。
香月を見守る嘉瑞もそれを感じ取っていた。
今生の持ち主は香月が選ばれた。
だからこそ、玄家は香月を後宮に渡すことを拒もうとしていたのだ。
……召喚に成功した。
玄家に伝わる剣舞を行うのは、剣が必要である。
剣があれば剣舞は舞える。しかし、ただ舞うだけでは守護結界の修復には繋がらない。
守護結界は気功を込めた舞を奉納しなければ、修復も現状を維持することもできないだろう。
それは氷叡剣でなければいけない。
香月はそれをわかっていたからこそ、安堵した。玄家を離れ、後宮妃となった香月は、氷叡剣の主人として認められている保証などなかったからだ。
「――ふぅ」
息を吐く。
地面を蹴り上げ、舞を踊る。
剣を振り回し、踊る。
その姿は玄家の守護である玄武のように二面性を秘めたものであり、見る者の視線を奪うほどに洗礼された動きだった。
剣で戦うかのように勇ましく、舞姫のように優雅に足元を動かす。
その動きは修練された者にしかできない。
……翠蘭姉上。
氷叡剣を空に向ける。
思う相手は非業の死を遂げた異母姉だ。
……貴女の無念は少しでも晴れただろうか。
黄藍洙は死んだ。
それは翠蘭を呪った相手が死んだことを意味していた。
……黄妃にはまだ聞かなければいけなかったのに。
死人に口なしとはまさにこのことだった。
無念を踊りに込める。
そうすれば、不思議と守護結界が淡い光を放ち始めた。
法術の才がある者や呪術の心得がある者ならば、その違和感を感じ取っていることだろう。
香月の舞は奉納の価値があった。
守護結界はそれを認めたのだ。
香月を見守る嘉瑞もそれを感じ取っていた。
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