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第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る
03-4.
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「旦那様?」
俺の頭を撫ぜ続けている父上の姿が不気味だったのだろう。
なにか問題でも起きたのではないかと言わんばかりの顔をして、義母が駆け寄ってきた。
「まあ、ヒューバートさんと仲直りできましたのね!」
義母の発想は理解ができない。
父上の後妻になる前は平民として暮らしていたからなのだろうか。
「……アンナ」
あっ……、手が離れてしまった。
いや、俺も成人を迎えた大人だ。
いまさら、父上に撫ぜてもらうのが嬉しかったなど、子どものようなことを思ってはいけない。
貴族の威信が傷つく。
子ども扱いを受けたことを不服だと言わなければならない。
そうしなければ、侯爵家の人間として相応しくない。
「父上。俺は茶会に招かれていますので、お先に失礼します」
「あ、あぁ。そうだったな。気をつけていくように。問題が起きれば、すぐにでも駆け付けることを忘れるな」
父上が言っていた問題とは、第一王子のことか。
侯爵家としては、王位継承権一位の第一王子との接点は喜ぶべきことのはずだ。
それなのにもかかわらず、父上は第一王子のことを疎んでいるのだろうか?
母上が存命の頃は違ったはずだ。
少なくとも、ここまで露骨に嫌悪感を抱いていなかった。
「……はい、父上」
第一王子はなにを考えているのだろうか。
少なくとも、何らかの理由があって俺に執着をしているのは確実だろう。
革命を企てた貴族を処刑しなかったほどだ。
その当時の記憶を持っているのならば、王国を離反する前に手に入れようとしてきたところでなにもおかしいことではない。
「それでは、また、会場でお会いしましょう」
二十一歳の誕生日を祝うパーティの進行は、すべてマイルズに押し付けてきた。
主役として顔は出す。
だが、その前にシリルたちと会う約束があった。
約束は果たさなければならない。
俺の頭を撫ぜ続けている父上の姿が不気味だったのだろう。
なにか問題でも起きたのではないかと言わんばかりの顔をして、義母が駆け寄ってきた。
「まあ、ヒューバートさんと仲直りできましたのね!」
義母の発想は理解ができない。
父上の後妻になる前は平民として暮らしていたからなのだろうか。
「……アンナ」
あっ……、手が離れてしまった。
いや、俺も成人を迎えた大人だ。
いまさら、父上に撫ぜてもらうのが嬉しかったなど、子どものようなことを思ってはいけない。
貴族の威信が傷つく。
子ども扱いを受けたことを不服だと言わなければならない。
そうしなければ、侯爵家の人間として相応しくない。
「父上。俺は茶会に招かれていますので、お先に失礼します」
「あ、あぁ。そうだったな。気をつけていくように。問題が起きれば、すぐにでも駆け付けることを忘れるな」
父上が言っていた問題とは、第一王子のことか。
侯爵家としては、王位継承権一位の第一王子との接点は喜ぶべきことのはずだ。
それなのにもかかわらず、父上は第一王子のことを疎んでいるのだろうか?
母上が存命の頃は違ったはずだ。
少なくとも、ここまで露骨に嫌悪感を抱いていなかった。
「……はい、父上」
第一王子はなにを考えているのだろうか。
少なくとも、何らかの理由があって俺に執着をしているのは確実だろう。
革命を企てた貴族を処刑しなかったほどだ。
その当時の記憶を持っているのならば、王国を離反する前に手に入れようとしてきたところでなにもおかしいことではない。
「それでは、また、会場でお会いしましょう」
二十一歳の誕生日を祝うパーティの進行は、すべてマイルズに押し付けてきた。
主役として顔は出す。
だが、その前にシリルたちと会う約束があった。
約束は果たさなければならない。
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感想ありがとうございます。
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ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただければ幸いです。