39 / 41
第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る
03-2.
しおりを挟む
「……父上」
まさか、酒を飲みすぎて頭がおかしくなってしまったのだろうか。
以前はそのような症状はなかったから、油断をしていた。
死に至るほどに酒を飲んでいた人だ。急に酒を断とうとすれば、なんらかの症状が出てきたところでおかしいことではない。
「腕のいい医者を呼びましょう。すぐに診察をしてもらうべきです」
「どうして、そうなるんだ」
「社交界嫌いの父上の口からとんでもない言葉を聞きましたので。すぐにでも、診てもらうべきでしょう」
俺の言葉が納得できなかったのだろうか。
父上が珍しく落ち込んでいる。
酒を飲んでいるときは感情的になることは珍しくなかったが、落ち込んでいるような姿を見たのは初めてだ。
「お前に信用されていないことはよくわかった」
今度は怒っているのだろうか。
珍しい。
他人に八つ当たりをしない父上は久しぶりだ。
「今日という今日はあいつらを追い払ってやる。ヒューバート。お前の悪影響になる連中を徹底的に追い払う。いいな? ……わかったな? 返事はどうした!」
俺に言っていったのか。
独り言かと思っていた。
「悪影響とは?」
俺が王国を敵に回したことを父上は知らない。
「まさか、シリルのことをおっしゃっているわけではありませんよね? 彼は母上がお元気だった頃からの俺の親友です。忘れたとは言わないでくださいよ」
シリルのことを父上は嫌っていた。
幼馴染の一人ではあるのだが、シリルは辺境伯爵家の五男だ。それも、庶子だった。
結局、俺と一緒になって王国を敵に回す前には家から追い出され、貴族ではなくなっていた。
それでも、俺の親友だった。
今も変わりはない。
「……アレはアレで問題だが、それよりも大きい問題があるだろう」
父上の言葉に首を傾げてしまった。
誰のことを言っているのか、まったく、わからない。
まさか、酒を飲みすぎて頭がおかしくなってしまったのだろうか。
以前はそのような症状はなかったから、油断をしていた。
死に至るほどに酒を飲んでいた人だ。急に酒を断とうとすれば、なんらかの症状が出てきたところでおかしいことではない。
「腕のいい医者を呼びましょう。すぐに診察をしてもらうべきです」
「どうして、そうなるんだ」
「社交界嫌いの父上の口からとんでもない言葉を聞きましたので。すぐにでも、診てもらうべきでしょう」
俺の言葉が納得できなかったのだろうか。
父上が珍しく落ち込んでいる。
酒を飲んでいるときは感情的になることは珍しくなかったが、落ち込んでいるような姿を見たのは初めてだ。
「お前に信用されていないことはよくわかった」
今度は怒っているのだろうか。
珍しい。
他人に八つ当たりをしない父上は久しぶりだ。
「今日という今日はあいつらを追い払ってやる。ヒューバート。お前の悪影響になる連中を徹底的に追い払う。いいな? ……わかったな? 返事はどうした!」
俺に言っていったのか。
独り言かと思っていた。
「悪影響とは?」
俺が王国を敵に回したことを父上は知らない。
「まさか、シリルのことをおっしゃっているわけではありませんよね? 彼は母上がお元気だった頃からの俺の親友です。忘れたとは言わないでくださいよ」
シリルのことを父上は嫌っていた。
幼馴染の一人ではあるのだが、シリルは辺境伯爵家の五男だ。それも、庶子だった。
結局、俺と一緒になって王国を敵に回す前には家から追い出され、貴族ではなくなっていた。
それでも、俺の親友だった。
今も変わりはない。
「……アレはアレで問題だが、それよりも大きい問題があるだろう」
父上の言葉に首を傾げてしまった。
誰のことを言っているのか、まったく、わからない。
58
お気に入りに追加
627
あなたにおすすめの小説
買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる