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第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る

02-25.

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 どうしてそうなるのか。

 冗談で言っていないのはわかるからこそ、怖い。

「……そうだな」

 ノエルの言いなりになるつもりはない。

 ただ、侯爵家の役に立つなら使ってやろうというだけだ。

 前回と同じようにならない為には、なんだってしないといけない。

 それを覚悟した。

 自分勝手な覚悟で未来を変えるんだ。

 もしかしたら、前回よりも早く命が燃え尽きる可能性だってある。

「今夜のパーティで役に立てれば、キスの一つくらいしてやるよ」

「わかりました。約束ですからね。約束をなかったことにしようとしたら、二度と僕から離れられないように調教しますから覚悟をしておいてくださいね」

 勢いよく言えば、ごまかせると思っているのか?

「約束は約束だ。俺が破ったことはないだろ?」

「いえ。どちらかといえば、約束は破るためにあるような勢いで生きているでしょう?」

「……状況によっては必要なことだっただろう?」

「知っています。だからこそ、義兄上の約束は信じないようにしているのです」

 真顔で言われると否定できない。

 侯爵家の為になるなら、ある程度の嘘も約束をなかったことにするのも、仕方がないことだろう。貴族として正しい振る舞いだ。

「個人的な付き合いでは、滅多なことでは約束を破らない」

 そういえば、ノエル相手にはどうだっただろうか。

 いつも適当に受け流していたから、あまり、覚えていない。

 なにをしても、ノエルは俺の後ろをついてくるような奴だったのもあるんだが。もしかしたら、適当に約束をして、忘れていたこともあるかもしれない。

「はっ。酷い顔だな」

 頬を膨らませて抗議するなんて。

 子どもみたいなことをされてもかわいいだけ。――かわいい? いやいや、そんなことはない。

「そう思うなら、キスをさせてください」

「役に立てばな」

「前払いを要求します。義兄上。僕の顔を見て笑ったのですから、そのくらいはしても許されるはずでしょう?」

 だから、顔が近い。

 このままだと本当にキスをしかねない。

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