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第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る
02-16.
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「はい。覚えています。僕が義兄上を助け出す方法を探している間に、貴方は、あっけなく死んでしまわれましたから」
あ、これ、やばい。
怒っている。
いや、別にノエルに怒られたところで怖くもなんともないんだが。
なんだろう。このまま、距離を詰められると危険な気がする。
「まさか、今度も同じようなことをするつもりではありませんよね?」
「するわけないだろ」
結末がわかっていることに興味はない。
侯爵家の借金は些細なものだ。
父上の酒依存を止められないのならば、死に至る前に病院に放り込めばいい。
教会が経営している病院に放り込めば、治癒魔法をかけられながら治療できるだろう。
治療の過程で父上が死ぬほど辛い目に合うかもしれないが、それでも、侯爵家を破綻に追い込むほどのことをした後に死なれるよりはマシだ。
解決策あるのにもかかわらず、死を選ぶほどに俺は愚かではない。
食い止められる死は阻止する。
侯爵家の破綻も阻止する。
そのついでに、死ぬ間際に抱いてしまった心残りをなんとかしたかった。
「なにより、あんな死に方は二度とごめんだ」
第一王子の名前をまだ思い出せていない。
どうして、あの男が俺を処刑台に立たせなかったのか、わからないままだ。
どうして、あの男は俺の死を泣いていたのか。
なにもかも、わからない。
だけども、その理由を知りたいとも思えない。
「義兄上。前とは違う未来を選ばれるのですね?」
期待にするような顔を向けられても困る。
心臓がうるさくなる。
縋りつくような顔をしないでほしい。
心臓がうるさくて、頭が回らなくなる。
「それなら、僕の手をとってください。義兄上。僕は、侯爵家の為にどんなことでもできます。それが義兄上の望むことならば、僕は忠犬のようになってみせます」
欲にまみれた顔をしながら言われても、いまいち、信用がない。
俺の手に触れるな。どさくさに紛れてなにをするつもりだ。
振り払うこともできないのが、本当に、嫌になる。
あ、これ、やばい。
怒っている。
いや、別にノエルに怒られたところで怖くもなんともないんだが。
なんだろう。このまま、距離を詰められると危険な気がする。
「まさか、今度も同じようなことをするつもりではありませんよね?」
「するわけないだろ」
結末がわかっていることに興味はない。
侯爵家の借金は些細なものだ。
父上の酒依存を止められないのならば、死に至る前に病院に放り込めばいい。
教会が経営している病院に放り込めば、治癒魔法をかけられながら治療できるだろう。
治療の過程で父上が死ぬほど辛い目に合うかもしれないが、それでも、侯爵家を破綻に追い込むほどのことをした後に死なれるよりはマシだ。
解決策あるのにもかかわらず、死を選ぶほどに俺は愚かではない。
食い止められる死は阻止する。
侯爵家の破綻も阻止する。
そのついでに、死ぬ間際に抱いてしまった心残りをなんとかしたかった。
「なにより、あんな死に方は二度とごめんだ」
第一王子の名前をまだ思い出せていない。
どうして、あの男が俺を処刑台に立たせなかったのか、わからないままだ。
どうして、あの男は俺の死を泣いていたのか。
なにもかも、わからない。
だけども、その理由を知りたいとも思えない。
「義兄上。前とは違う未来を選ばれるのですね?」
期待にするような顔を向けられても困る。
心臓がうるさくなる。
縋りつくような顔をしないでほしい。
心臓がうるさくて、頭が回らなくなる。
「それなら、僕の手をとってください。義兄上。僕は、侯爵家の為にどんなことでもできます。それが義兄上の望むことならば、僕は忠犬のようになってみせます」
欲にまみれた顔をしながら言われても、いまいち、信用がない。
俺の手に触れるな。どさくさに紛れてなにをするつもりだ。
振り払うこともできないのが、本当に、嫌になる。
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