24 / 41
第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る
02-13.
しおりを挟む
「気にするな」
ノエルに押し倒されていた現場を見られるよりはよかったのだろう。
そう思っているのにもかかわらず、少しだけ、惜しいことをしたような気分になる。
「そこに置いておいてくれ」
食欲はあまりない。
しかし、食べないと体がもたないのは知っている。
なによりマイルズに必要以上に心配をさせるわけにはいかない。
「お一人で大丈夫でしょうか?」
「問題ない。パーティの準備があるだろう?」
「はい。しかし、大事な坊ちゃまの為ならば、爺の一人、準備を手伝わなくともなにも問題はないでしょう」
侯爵家の使用人たちの動きは手慣れたものだ。
頻繁に行われるパーティの支度だ。問題があるわけがない。
「わかっている」
ただ、もう少しだけノエルと二人で話がしたかった。
ノエルも記憶があるのならば、ただの偶然ではない。
あの時、俺が死んだ後になにか問題が起きたのだろう。パーティに出席をする友人たちに顔を合わせる前に確認をしておいたほうがいい。
「ノエルと二人で話をしながら食べることにする」
「……ノエル坊ちゃまと、でしょうか?」
マイルズは信じられないものを聞いたという顔をした。
仕方がないだろう。
俺だって、前回の別れがなければそんなことを思いもしなかった。
それどころか、食欲が失せるから摘まみだせと言っていたはずだ。
「いい機会だろう?」
床に座っているノエルを見てみれば、何とも言えない顔をしていた。
あれはどういう感情なのだろうか。
嬉しそうではない。悲しそうでもない。それなのに、なんとも言えない変な表情を浮かべている。
「俺も二十一歳だ。義弟との関係を見直そうと思っていたところだ」
嘘だ。
少なくとも、俺は、そんなことを考えたことはなかった。
一度、死んだ影響が大きいのだろう。
ノエルならば俺を見放すようなことはしないと、自分でも気味の悪い考えが頭を支配している。
ノエルに押し倒されていた現場を見られるよりはよかったのだろう。
そう思っているのにもかかわらず、少しだけ、惜しいことをしたような気分になる。
「そこに置いておいてくれ」
食欲はあまりない。
しかし、食べないと体がもたないのは知っている。
なによりマイルズに必要以上に心配をさせるわけにはいかない。
「お一人で大丈夫でしょうか?」
「問題ない。パーティの準備があるだろう?」
「はい。しかし、大事な坊ちゃまの為ならば、爺の一人、準備を手伝わなくともなにも問題はないでしょう」
侯爵家の使用人たちの動きは手慣れたものだ。
頻繁に行われるパーティの支度だ。問題があるわけがない。
「わかっている」
ただ、もう少しだけノエルと二人で話がしたかった。
ノエルも記憶があるのならば、ただの偶然ではない。
あの時、俺が死んだ後になにか問題が起きたのだろう。パーティに出席をする友人たちに顔を合わせる前に確認をしておいたほうがいい。
「ノエルと二人で話をしながら食べることにする」
「……ノエル坊ちゃまと、でしょうか?」
マイルズは信じられないものを聞いたという顔をした。
仕方がないだろう。
俺だって、前回の別れがなければそんなことを思いもしなかった。
それどころか、食欲が失せるから摘まみだせと言っていたはずだ。
「いい機会だろう?」
床に座っているノエルを見てみれば、何とも言えない顔をしていた。
あれはどういう感情なのだろうか。
嬉しそうではない。悲しそうでもない。それなのに、なんとも言えない変な表情を浮かべている。
「俺も二十一歳だ。義弟との関係を見直そうと思っていたところだ」
嘘だ。
少なくとも、俺は、そんなことを考えたことはなかった。
一度、死んだ影響が大きいのだろう。
ノエルならば俺を見放すようなことはしないと、自分でも気味の悪い考えが頭を支配している。
64
お気に入りに追加
625
あなたにおすすめの小説
買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる