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第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る
01-11.
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「バカなヒューバート」
頬を触られている。
うっすらとわかるだけだ。
「次に会う時は選択を間違えないようにね」
会う時なんてないだろう。
俺はこのまま死ぬしかないんだ。
「君は賢い子だから。だから、わかってくれるよね」
身体の感覚はない。声も出ない。空腹も感じない。
酷く眠たいだけだ。
目も開けていられなくなり、閉じてしまった。
それを第一王子は止めない。
不敬だと怒られても仕方がないのに、何も言わない。
「おやすみ。ヒューバート。次に会う時は私を選んでね」
なんのことだろうか。
まるで次の機会があるような言い方だ。
それを問いかけることもできない。
ただ、第一王子が悲しんでいるような気がした。
俺は、お前の名前さえも忘れてしまったのに。
もう何年も呼んでいない。
子どもの時には呼んでいたはずの名前さえも忘れてしまった。
それなのに、どうして、俺を殺さなかったのだろう。
革命軍として人を殺した。
数えられないほどの命を奪った。
笑いながら殺していた友人を止めなかった。
それなのに、俺だけが安らかに死ぬなんて許されないはず、なのに……。
頬を触られている。
うっすらとわかるだけだ。
「次に会う時は選択を間違えないようにね」
会う時なんてないだろう。
俺はこのまま死ぬしかないんだ。
「君は賢い子だから。だから、わかってくれるよね」
身体の感覚はない。声も出ない。空腹も感じない。
酷く眠たいだけだ。
目も開けていられなくなり、閉じてしまった。
それを第一王子は止めない。
不敬だと怒られても仕方がないのに、何も言わない。
「おやすみ。ヒューバート。次に会う時は私を選んでね」
なんのことだろうか。
まるで次の機会があるような言い方だ。
それを問いかけることもできない。
ただ、第一王子が悲しんでいるような気がした。
俺は、お前の名前さえも忘れてしまったのに。
もう何年も呼んでいない。
子どもの時には呼んでいたはずの名前さえも忘れてしまった。
それなのに、どうして、俺を殺さなかったのだろう。
革命軍として人を殺した。
数えられないほどの命を奪った。
笑いながら殺していた友人を止めなかった。
それなのに、俺だけが安らかに死ぬなんて許されないはず、なのに……。
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