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第0話 悪役侯爵は逆行し、悪役令息に戻る
01-6.
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それ以外の方法は思いつかなかった。
「義兄上。なにをするんですか!」
抵抗するとは思っていなかったのだろうな。
「今になって抵抗をするなんて――」
「いたぞ! ヒューバート・アルデラミンだ!」
ノエルの声が遮られた。
うるさい声だ。うるさい足音だ。
追い払ったはずの騎士団だろう。
第三王子が率いる革命軍は王国にとっての反逆者だ。
不穏分子を放っておくはずがない。
第一王子のむかつく顔を思い出してしまった。
「あ、あに――」
「触るな。俺はアルデラミン侯爵だ。平民ごときが侯爵に声をかけるなんてありえない!!」
ノエルの手を振り払う。
身体が重い。動きたくない。
このまま、息絶える予定が崩れたのがむかつく。
「まっ、待ってください! 義兄上はまだなにもしていません! 僕が説得してみせますから!」
ノエルはなにも知らないのか?
いや、そんなはずがない。
ただ、信じたくないだけなのだろう。
「アルデラミン侯爵。貴方には殺人の容疑がかかっています。抵抗せずについてくるのならば、そこにいる平民は見逃しましょう」
見知った男だった。
そういえば、騎士団長に選ばれたと言っていたような気がする。
わざわざ報告など要らないと破り捨てた覚えがある。
一時期、兄弟子だった男だ。
俺は先生に選ばれた元騎士団長のことが嫌いだったから、すぐに父上に言い付けて剣術の先生を変えてもらったんだが。
それでも、この男はずっと兄弟子だと言い張っていた。
「アルデラミン侯爵」
名前は何だったか。
関わることもないだろうと決めつけて覚えていなかったな。
「大人しく俺に従ってくれますね?」
抵抗すればノエルも反逆者として捕まえるつもりなのだろう。
「義兄上。なにをするんですか!」
抵抗するとは思っていなかったのだろうな。
「今になって抵抗をするなんて――」
「いたぞ! ヒューバート・アルデラミンだ!」
ノエルの声が遮られた。
うるさい声だ。うるさい足音だ。
追い払ったはずの騎士団だろう。
第三王子が率いる革命軍は王国にとっての反逆者だ。
不穏分子を放っておくはずがない。
第一王子のむかつく顔を思い出してしまった。
「あ、あに――」
「触るな。俺はアルデラミン侯爵だ。平民ごときが侯爵に声をかけるなんてありえない!!」
ノエルの手を振り払う。
身体が重い。動きたくない。
このまま、息絶える予定が崩れたのがむかつく。
「まっ、待ってください! 義兄上はまだなにもしていません! 僕が説得してみせますから!」
ノエルはなにも知らないのか?
いや、そんなはずがない。
ただ、信じたくないだけなのだろう。
「アルデラミン侯爵。貴方には殺人の容疑がかかっています。抵抗せずについてくるのならば、そこにいる平民は見逃しましょう」
見知った男だった。
そういえば、騎士団長に選ばれたと言っていたような気がする。
わざわざ報告など要らないと破り捨てた覚えがある。
一時期、兄弟子だった男だ。
俺は先生に選ばれた元騎士団長のことが嫌いだったから、すぐに父上に言い付けて剣術の先生を変えてもらったんだが。
それでも、この男はずっと兄弟子だと言い張っていた。
「アルデラミン侯爵」
名前は何だったか。
関わることもないだろうと決めつけて覚えていなかったな。
「大人しく俺に従ってくれますね?」
抵抗すればノエルも反逆者として捕まえるつもりなのだろう。
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