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第一話 異母妹は悪役令嬢である
05-7.
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唯一、アリアへ手を差し伸べることができる立場にいながらも、私はそれをしなかった。
皇太子殿下を擁護した。
未来の皇国を背負うことになる君主を守ったことへの後悔はないはずだった。
それなのに、なぜ、これほどまで空しいのだろうか。
「お前は私に殺されたようなものだ」
アリアを見殺しにしたのだ。
私には涙を流す資格はない。彼女の死を悲しむ資格はない。
「私は、アリアを見殺しにしてしまった」
分かっているのだ。
それでも、私は後悔をしてしまっている。
「私を恨んでいることだろう。お前を見捨てた私を憎んでいることだろう」
恨まれるようなことをしてしまった。
それでも、彼女は私のことを異母姉と呼んだ。
それが忘れられない。
「私には、お前に異母姉と呼んで貰う資格はない。お前に慕われるような異母姉ではなかったのだから」
卒業の前日、父に公爵代理人の座を返上させた。
様々な制約を付けられたものの、公爵の地位は本来あるべき場所へと戻すことができた。亡き母の血族以外にはスプリングフィールド公爵家を継ぐことは許されていない。
婿養子である父が公爵代理人であったのは、私が未成年だったからだ。
魔法学院を卒業する節目に公爵位を取り戻したのは、代理人を立てる必要性がなくなったからだ。
その行為は、アリアの命を奪う切っ掛けの一つになってしまった。
私に公爵としての発言権がなければ彼女は生きていただろう。
父に公爵代理人としての権限があれば、あのような結末にはならなかったかもしれない。
それは可能性の話だ。
ありえない話である。
誰も助け出すことなどできなかったのだから。
「セバスチャン。私には義母上のような顔をするべきなのだろう。決して父上のように涙を流すべきではない。涙を流す資格など、彼女を追いつめた私にはないのだろう。――そう言ってはくれないか。なにも言うことのできない彼女の代わりに私を責めてはくれないだろうか」
無言で傘を差すセバスチャンの顔を見上げる。
皇太子殿下を擁護した。
未来の皇国を背負うことになる君主を守ったことへの後悔はないはずだった。
それなのに、なぜ、これほどまで空しいのだろうか。
「お前は私に殺されたようなものだ」
アリアを見殺しにしたのだ。
私には涙を流す資格はない。彼女の死を悲しむ資格はない。
「私は、アリアを見殺しにしてしまった」
分かっているのだ。
それでも、私は後悔をしてしまっている。
「私を恨んでいることだろう。お前を見捨てた私を憎んでいることだろう」
恨まれるようなことをしてしまった。
それでも、彼女は私のことを異母姉と呼んだ。
それが忘れられない。
「私には、お前に異母姉と呼んで貰う資格はない。お前に慕われるような異母姉ではなかったのだから」
卒業の前日、父に公爵代理人の座を返上させた。
様々な制約を付けられたものの、公爵の地位は本来あるべき場所へと戻すことができた。亡き母の血族以外にはスプリングフィールド公爵家を継ぐことは許されていない。
婿養子である父が公爵代理人であったのは、私が未成年だったからだ。
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その行為は、アリアの命を奪う切っ掛けの一つになってしまった。
私に公爵としての発言権がなければ彼女は生きていただろう。
父に公爵代理人としての権限があれば、あのような結末にはならなかったかもしれない。
それは可能性の話だ。
ありえない話である。
誰も助け出すことなどできなかったのだから。
「セバスチャン。私には義母上のような顔をするべきなのだろう。決して父上のように涙を流すべきではない。涙を流す資格など、彼女を追いつめた私にはないのだろう。――そう言ってはくれないか。なにも言うことのできない彼女の代わりに私を責めてはくれないだろうか」
無言で傘を差すセバスチャンの顔を見上げる。
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