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第一話 異母妹は悪役令嬢である

05-4.

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 それは彼女を死に追いやった私には許されない行為だろう。

 アリアとは仲がいいとはいえない関係だった。

 なにかに付けて対立することが多かった。

 近年は顔を見合わせれば最低限の挨拶だけの関係だった。

 皇太子殿下との関わりにより顔を合わせる機会は多かったのにもかかわらず、その関係性は希薄だった。

 それでもその死を望むことは一度もなかった。

 少々、場の空気を読んで発言をして欲しいと苦言を伝えることはあったものの、煩わしいと思ったことはなかった。

「母上の時とは違うのだな」

 可愛らしい我が儘だと思っていたのだ。

 未来の皇后陛下となるのには幼すぎる言動を叱責することも務めであった。

「あの時は泣けたのに。今は涙さえも出ない」

 私の言葉に素直に従っていた異母妹には悪気はなかったのだろう。

 思った通りに行動をしていただけなのだろう。

 それを否定すれば良かったのだろうか。

 そうすれば、アリアは今も生きていたのだろうか。

「御心のままに従うべきだと思います。イザベラ様」

「まるで聖職者が口にしそうな言葉だ」

「善良な信徒ですから。イザベラ様もそうでしょう? アリアお嬢様の為に神様への祈りを捧げたのはイザベラ様でございます」

 それは教会の聖職者を呼ぶことができなかったからだ。

 だからこそ聖書を片手に読み上げただけだ。

 簡易的な内容だったから神の御心に届いたとは思えないものの、それでも、なにもしないよりは良いだろう。

「私は善良な信徒ではない。破れるほどに読み込んでいたのも、奉仕作業に精を出していたのも私ではない。誰かに強要されたわけではなかったのにもかかわらず、それらはあの子が好きでしていたことだ」

 聖職者を呼ぶことができなかったのは、アリアが皇族侮辱罪により死罪になったからではない。

「アリアを破門にした教会の考えなど理解できない」

 アリアは教会から破門された。

 教会の公認である聖女、エイダを侮辱した異教徒として扱われたのだ。

「あの子が尽くしていたことは知っているだろう」

 アリアは熱心な信徒だった。

 用事がない限り、日曜日に行われている集会に毎回参加をしていた。
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