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第一話 異母妹は悪役令嬢である
04-3.
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「イザベラ。なにか僕にして欲しいことでもあるんじゃない?」
「これを解除しろ。マーヴィン」
「魔法を使わないと言うのならばいいけど?」
魔法を封じられたようなものだ。
これではいざという時に動けない。
「……信じない癖によく言えるな」
「ははは、冗談はやめてよ。僕はイザベラと違って表情一つ変えずに約束を破るような人じゃないよ」
なにが楽しいのかマーヴィンは笑いだす。
私たちのやり取りが聞こえているだろう皇帝陛下を見るが、こちらを見ることもない。
「君はここにいなくてはいけないんだよ。だって、君はエイダの大切な人だからね」
それが正しいことのように言われると吐き気がする。
エイダは聖女だ。
他国の脅威に怯えるしかない皇国を救うべき存在だ。
頭の中ではわかっている。
それなのに、それは違うと心が主張しているのはなぜだろうか。
「……気味が悪いことを言うな。皇太子殿下に聞かれても知らないぞ」
「そう? 殿下は怒らないと思うけどね」
「なぜ、そう思う」
「だって、殿下はエイダが笑っていてくれたらいいんだよ。そうじゃなかったら、公開処刑なんてくだらないことをしないよ」
公開処刑の立ち合いをすることは異例中の異例なのだ。
それも皇太子陛下ではなく、エイダが望まれたからこその実現だと言っていた。
なぜ、皇帝陛下も皇后陛下もエイダの願いを叶えてしまうのだろうか。
まるでエイダの言葉に逆らえないようにも見える。
「エイダの幸せの為には、必要な犠牲なんだよ」
そうなることが知っていたかのような言葉に聞こえてくる。
「諦めなよ、イザベラ。足掻くのは苦しい思いをするだけだよ」
エイダは貴族ではない。当然、皇族でもない。
身分の低い平民階級の生まれだ。
本来ならばこのようなことはありえない。
なぜ、誰も指摘しないのだろう。
私だけが違和感を抱いているのはおかしいことではないのだろうか。
「これを解除しろ。マーヴィン」
「魔法を使わないと言うのならばいいけど?」
魔法を封じられたようなものだ。
これではいざという時に動けない。
「……信じない癖によく言えるな」
「ははは、冗談はやめてよ。僕はイザベラと違って表情一つ変えずに約束を破るような人じゃないよ」
なにが楽しいのかマーヴィンは笑いだす。
私たちのやり取りが聞こえているだろう皇帝陛下を見るが、こちらを見ることもない。
「君はここにいなくてはいけないんだよ。だって、君はエイダの大切な人だからね」
それが正しいことのように言われると吐き気がする。
エイダは聖女だ。
他国の脅威に怯えるしかない皇国を救うべき存在だ。
頭の中ではわかっている。
それなのに、それは違うと心が主張しているのはなぜだろうか。
「……気味が悪いことを言うな。皇太子殿下に聞かれても知らないぞ」
「そう? 殿下は怒らないと思うけどね」
「なぜ、そう思う」
「だって、殿下はエイダが笑っていてくれたらいいんだよ。そうじゃなかったら、公開処刑なんてくだらないことをしないよ」
公開処刑の立ち合いをすることは異例中の異例なのだ。
それも皇太子陛下ではなく、エイダが望まれたからこその実現だと言っていた。
なぜ、皇帝陛下も皇后陛下もエイダの願いを叶えてしまうのだろうか。
まるでエイダの言葉に逆らえないようにも見える。
「エイダの幸せの為には、必要な犠牲なんだよ」
そうなることが知っていたかのような言葉に聞こえてくる。
「諦めなよ、イザベラ。足掻くのは苦しい思いをするだけだよ」
エイダは貴族ではない。当然、皇族でもない。
身分の低い平民階級の生まれだ。
本来ならばこのようなことはありえない。
なぜ、誰も指摘しないのだろう。
私だけが違和感を抱いているのはおかしいことではないのだろうか。
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