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第一話 異母妹は悪役令嬢である
04-2.
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両隣にいるアイザックとマーヴィンを気絶させるのには苦労しそうだが、それも、一瞬の隙を衝けばいい。
この場から飛び降りてアリアのいる処刑台を凍らせ、刃を使いものにならなくさせればいいのだから。
「おい、イザベラ。お前、俺の足を凍らせようとしただろ」
「少しだけならいいだろ」
「良くねえよ。バカなの? お前」
その準備段階としてアイザックの足元に氷を張ろうとした途端に左腕を捕まれる。
いつのまにか、マーヴィンが展開していた魔方陣により魔法発動が不可能となる。中途半端に発動していた【氷の刃】は蒸発していく。
やろうとすることが分かっていたと言わんばかりの眼が両隣から向けられていた。
「少なくともアイザックよりはまともな頭をしているさ」
仕方がないだろう。
あの処刑人が悪いのだから。
「公爵になったんだろ? こんな時まで悪戯をするなよ」
「悪戯ではないさ。私は本気で凍らせようとしていたのだから」
「冗談に聞こえねえんだけど。イザベラ、頼むから大人しくしとけよ」
念入りに脅してあったというのにもかかわらず、アリアの髪を摑んだのを見て理性が飛びそうになった。
「アリアは私の異母妹だ」
見世物を扱うかのように乱暴に処刑台に押し付けている姿は許されるものではない。
「なぜ、……助けてやれないのだろう」
最低限の苦しみや恐怖も与えることは許さないと散々脅してあったというのにもかかわらず、それをしたのだ。
それならば、アリアが生きたいと懇願する前に助け出してやろうと動こうとしてなにが悪いというのだ。
「仕方ねえだろ」
アイザックの顔を見られない。
「決まったことだ」
「……それを覆してしまいたいと思うのは、いけないことなのか」
「仕方ねえだろ。それをすれば、お前だってどうなるかわかんねえだから」
なにを考えているのか。わからない。
それなのに、掴まれたままの腕を振り払うことさえもできない。
この場から飛び降りてアリアのいる処刑台を凍らせ、刃を使いものにならなくさせればいいのだから。
「おい、イザベラ。お前、俺の足を凍らせようとしただろ」
「少しだけならいいだろ」
「良くねえよ。バカなの? お前」
その準備段階としてアイザックの足元に氷を張ろうとした途端に左腕を捕まれる。
いつのまにか、マーヴィンが展開していた魔方陣により魔法発動が不可能となる。中途半端に発動していた【氷の刃】は蒸発していく。
やろうとすることが分かっていたと言わんばかりの眼が両隣から向けられていた。
「少なくともアイザックよりはまともな頭をしているさ」
仕方がないだろう。
あの処刑人が悪いのだから。
「公爵になったんだろ? こんな時まで悪戯をするなよ」
「悪戯ではないさ。私は本気で凍らせようとしていたのだから」
「冗談に聞こえねえんだけど。イザベラ、頼むから大人しくしとけよ」
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「なぜ、……助けてやれないのだろう」
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アイザックの顔を見られない。
「決まったことだ」
「……それを覆してしまいたいと思うのは、いけないことなのか」
「仕方ねえだろ。それをすれば、お前だってどうなるかわかんねえだから」
なにを考えているのか。わからない。
それなのに、掴まれたままの腕を振り払うことさえもできない。
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