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第一話 異母妹は悪役令嬢である
03-6.
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「罰?」
「そうですわ。わたくし、欲張ってしまいましたから。あのお方に愛されるのはわたくしであるはずだと、疑うことさえもできませんでしたの」
「それは当然のことだろう。アリアは殿下の婚約者だったのだから」
市民は貴族の下であり、市民は貴族の為に働くものだ。
理不尽だと非難する声を上げる者は不敬罪で殺してしまえと笑う皇族がいるのだから、彼らに忠誠を誓う貴族がそれをしてなにが悪い。
「ええ。そうですわ。手に入らないものを望んでしまったからこそ、罰が下されるのです」
なにもおかしいことではないだろう。
それだけの権力を私たちは与えられているのだから。
「それだけのことをしてしまいました。ですから、仕方がないことなのですわ」
アリアは、きっと、そう考えたのだろう。
そして、それは当然の権利なのだ。
アリアに非はないのだ。
アリアは公爵令嬢として当然のことを言っていたのだから。
「ふふ、納得のいかないと言いたげな眼をしていますわね」
「お前にはそう見えるのか」
「ええ、そう見えておりますわよ。お姉様」
アリアはどうして笑っていられるのだろうか。
「わたくしたち、もう何年も口を利いておりませんでしたのよ。それなのに、どうして、お姉様はわたくしのことを気にかけてくださいますの?」
「……私はアリアのことが嫌いだと明言したことはないだろう」
「そうですわね。言われてみればその通りですわ。お姉様、わたくしたち、すれ違っていただけでしたのね」
それはそうだ。
私はアリアのことを嫌いではない。
「私はアリアに嫌われていると思っていた」
「お姉様を嫌いになるような人なんていらっしゃいませんわ」
「この期に及んで世辞などいらない」
私は怪物だ。
感情に比例するように膨れ上げる魔力は人の範囲を超えている。
そんな化け物を嫌わない人はいない。
化け物は化け物同士でしか、心を通わすことはできない。そうやって、生きる以外の方法はないのだと散々言い聞かされてきたじゃないか。
いまさら、気持ちが揺らいでどうする?
「そうですわ。わたくし、欲張ってしまいましたから。あのお方に愛されるのはわたくしであるはずだと、疑うことさえもできませんでしたの」
「それは当然のことだろう。アリアは殿下の婚約者だったのだから」
市民は貴族の下であり、市民は貴族の為に働くものだ。
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「ええ。そうですわ。手に入らないものを望んでしまったからこそ、罰が下されるのです」
なにもおかしいことではないだろう。
それだけの権力を私たちは与えられているのだから。
「それだけのことをしてしまいました。ですから、仕方がないことなのですわ」
アリアは、きっと、そう考えたのだろう。
そして、それは当然の権利なのだ。
アリアに非はないのだ。
アリアは公爵令嬢として当然のことを言っていたのだから。
「ふふ、納得のいかないと言いたげな眼をしていますわね」
「お前にはそう見えるのか」
「ええ、そう見えておりますわよ。お姉様」
アリアはどうして笑っていられるのだろうか。
「わたくしたち、もう何年も口を利いておりませんでしたのよ。それなのに、どうして、お姉様はわたくしのことを気にかけてくださいますの?」
「……私はアリアのことが嫌いだと明言したことはないだろう」
「そうですわね。言われてみればその通りですわ。お姉様、わたくしたち、すれ違っていただけでしたのね」
それはそうだ。
私はアリアのことを嫌いではない。
「私はアリアに嫌われていると思っていた」
「お姉様を嫌いになるような人なんていらっしゃいませんわ」
「この期に及んで世辞などいらない」
私は怪物だ。
感情に比例するように膨れ上げる魔力は人の範囲を超えている。
そんな化け物を嫌わない人はいない。
化け物は化け物同士でしか、心を通わすことはできない。そうやって、生きる以外の方法はないのだと散々言い聞かされてきたじゃないか。
いまさら、気持ちが揺らいでどうする?
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