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第一話 異母妹は悪役令嬢である
01-3.
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家名を名乗ることすら許されないアリアが心穏やかに過ごせる場所は他になかった。悪女の墓を荒らそうとする心無き者たちから守る為にはこうするしかなかった。
「この時期になるとアマリリスが手に入りやすい。今年は特に香りが良いそうだ」
生前、あの子がもっとも好きだと言っていた花だ。
温暖な気候でなければ育たないアマリリスという花の見た目も香りも、その花言葉すらも好んでいた。
「そういえば、アマリリスの花言葉は、誇り、内気、すばらしく美しい、おしゃべりだったか。アリアが何度も言うから覚えてしまったよ」
この国、オーデン皇国では自然に咲くことはなく、栽培も不可能だと言われているその花が欲しいと駄々をこねられた時は煩わしく思ったものだ。
「今なら、まさにアリアの為にある花だと言ってやれただろう。この花が欲しいとねだるお前に溢れんばかりの花を渡してみたかった」
それすらも懐かしく思うのだから三年という年月は私という人間を変えるのには、充分すぎる年月だったのだろう。
もしも、再びその我が儘を耳にすることが許されるのならば、溢れんばかりのアマリリスの花をあの子に贈りたい。
「そうすれば、アリアは笑ってくれただろうか」
それから大好きな花に囲まれて嬉しそうに笑うあの子の顔を、もう一度、見たいものだ。
「私はもうアリアの笑顔すらも思い出せない」
もう何年も見ていない。
アリアの笑顔を思い出そうとしても、幼い頃の姿しか思い出せない。
「……思い出すのは、いつも、お前が処刑された日のことばかりだ」
助け出したかった。
処刑人を凍らせ、振り下ろされる刃を壊して、アリアの腕を掴んで逃げ出してしまいたかった。煩わしいものは全てを捨てて、アリアと二人で生きたかった。
それをしなかったのは私だ。
身体が動かなかった。
簡単に振り払えるはずの制止の手を受け入れてしまった。
悔やんでも悔やみきれない。私はアリアを見捨ててしまった。
「お前はあちらで笑っているのだろうな。私が後悔している姿は無様なものだろう。それでも生き長らえている姿を見て笑っているのだろう」
そうであってもいいから笑っていてほしい。
人は叶わないものほど求める生き物だと聞いたことがある。
「この時期になるとアマリリスが手に入りやすい。今年は特に香りが良いそうだ」
生前、あの子がもっとも好きだと言っていた花だ。
温暖な気候でなければ育たないアマリリスという花の見た目も香りも、その花言葉すらも好んでいた。
「そういえば、アマリリスの花言葉は、誇り、内気、すばらしく美しい、おしゃべりだったか。アリアが何度も言うから覚えてしまったよ」
この国、オーデン皇国では自然に咲くことはなく、栽培も不可能だと言われているその花が欲しいと駄々をこねられた時は煩わしく思ったものだ。
「今なら、まさにアリアの為にある花だと言ってやれただろう。この花が欲しいとねだるお前に溢れんばかりの花を渡してみたかった」
それすらも懐かしく思うのだから三年という年月は私という人間を変えるのには、充分すぎる年月だったのだろう。
もしも、再びその我が儘を耳にすることが許されるのならば、溢れんばかりのアマリリスの花をあの子に贈りたい。
「そうすれば、アリアは笑ってくれただろうか」
それから大好きな花に囲まれて嬉しそうに笑うあの子の顔を、もう一度、見たいものだ。
「私はもうアリアの笑顔すらも思い出せない」
もう何年も見ていない。
アリアの笑顔を思い出そうとしても、幼い頃の姿しか思い出せない。
「……思い出すのは、いつも、お前が処刑された日のことばかりだ」
助け出したかった。
処刑人を凍らせ、振り下ろされる刃を壊して、アリアの腕を掴んで逃げ出してしまいたかった。煩わしいものは全てを捨てて、アリアと二人で生きたかった。
それをしなかったのは私だ。
身体が動かなかった。
簡単に振り払えるはずの制止の手を受け入れてしまった。
悔やんでも悔やみきれない。私はアリアを見捨ててしまった。
「お前はあちらで笑っているのだろうな。私が後悔している姿は無様なものだろう。それでも生き長らえている姿を見て笑っているのだろう」
そうであってもいいから笑っていてほしい。
人は叶わないものほど求める生き物だと聞いたことがある。
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