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第1話 狐塚町にはあやかしが住んでいる
07-3.
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「意地を張るな。みっともない」
春博は香織の腕を掴み、強引に自分の後ろに下がらせる。
「僕の後ろにいろ」
腕を離す。
腕を掴んでいなくとも、春博の言葉には向かうような性格ではないことをわかっていたからこその行動だった。
(僕が人を庇うなんて)
自分自身に対する嫌悪感で気が狂いそうになる。
それを心の奥底に押し込め、春博は前を向く。
「旭様。頭領殿が息をひそめています」
「わかっているさ」
「それならば、もっと警戒をしてください」
三竹山の鬼女は飛びぬけた怪力の持ち主だ。
旭が負けるとは思ってもいないが、念のために警戒をしておくべきだろう。
「友を前に警戒をするのは失礼だろう?」
しかし、旭は余裕そうに笑った。
(旭様が負けるとは思っていない)
心の中で言い訳をする。
旭は三竹山に住んでいる弥生のことを友と呼ぶが、相手は何を考えているのかわからない。
あやかしの友情は脆い。
その友情により命を落とす者もいれば、友情を簡単に壊してしまう者もいる。
旭は友を信じて身を亡ぼすような真似はしない。
それをわかっていても、春博は胸が裂けるような不安に襲われる。
「一つの村を壊滅させた鬼が相手です。友とはいえども、警戒はしてください」
どのような経緯があったのかは知らない。
春博が聞かされた話と言うのは、この地域を守る神である旭の付き人として万が一の事態に立ち向かえるようにと聞かされた“三竹山に残る言い伝え”としての話なのだ。
「力を取り戻せば、襲い掛かってくる可能性だってあるのですから」
名のある僧侶に手を貸した旭の話を思い出し、目の前にある扉が壊されているお堂を見つめる。
春博は香織の腕を掴み、強引に自分の後ろに下がらせる。
「僕の後ろにいろ」
腕を離す。
腕を掴んでいなくとも、春博の言葉には向かうような性格ではないことをわかっていたからこその行動だった。
(僕が人を庇うなんて)
自分自身に対する嫌悪感で気が狂いそうになる。
それを心の奥底に押し込め、春博は前を向く。
「旭様。頭領殿が息をひそめています」
「わかっているさ」
「それならば、もっと警戒をしてください」
三竹山の鬼女は飛びぬけた怪力の持ち主だ。
旭が負けるとは思ってもいないが、念のために警戒をしておくべきだろう。
「友を前に警戒をするのは失礼だろう?」
しかし、旭は余裕そうに笑った。
(旭様が負けるとは思っていない)
心の中で言い訳をする。
旭は三竹山に住んでいる弥生のことを友と呼ぶが、相手は何を考えているのかわからない。
あやかしの友情は脆い。
その友情により命を落とす者もいれば、友情を簡単に壊してしまう者もいる。
旭は友を信じて身を亡ぼすような真似はしない。
それをわかっていても、春博は胸が裂けるような不安に襲われる。
「一つの村を壊滅させた鬼が相手です。友とはいえども、警戒はしてください」
どのような経緯があったのかは知らない。
春博が聞かされた話と言うのは、この地域を守る神である旭の付き人として万が一の事態に立ち向かえるようにと聞かされた“三竹山に残る言い伝え”としての話なのだ。
「力を取り戻せば、襲い掛かってくる可能性だってあるのですから」
名のある僧侶に手を貸した旭の話を思い出し、目の前にある扉が壊されているお堂を見つめる。
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