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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る
04-8.
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「バカセシル」
エドワードは吹っ切ったのだろう。
成立してしまった婚約は簡単には白紙には戻らない。それはわかっているものの、自覚してしまった恋心を心の奥底に片付けることはエドワードにはできない。
「お前が結婚するまでの間に、俺に惚れさせてやる」
エドワードは宣言をした。
それはセシルにとって不快でしかない言葉だ。
「ハヴィランドとの婚約を白紙に戻せるように権力を握ってやるし、絶対にセシルを不幸にさせねえから」
エドワードは本気だった。
本気で言っているのだとわかっているからこそ、セシルは嫌そうな顔をする。
「……バカ王子」
セシルは嫌々ながら前に出た。
ブライアンの後ろに隠れていたい気持ちはあったものの、エドワードの真っすぐすぎる言葉を聞き、セシルだけが逃げるわけにはいかないと考え直したのだろう。
「俺はルシアンが好きだから。だから、お前のことは好きにならない」
「知ってる。でも、これからはどうなるかわからねえだろ? 隙だらけのハヴィランドを出し抜いて、俺に惚れさせてやるからな。覚悟をしとけよ」
「偉そうに。ルシアンに勝てるとでも思ってるのかよ」
セシルの言葉を聞き、エドワードは笑った。
「あんな格下、相手にもならねえよ」
エドワードはルシアンのことを下に見ている。
ハヴィランド辺境伯爵家が担っている役割のことを知らないわけではないだろうが、他人の思惑に踊らされてしまいそうなルシアンの性格を知っているからこそ、エドワードはルシアンのことを気に留めてこなかった。
そんな相手に意中の人を奪われるとは思ってもいなかった。
「俺の方がセシルが好きだしな。その時点で勝ってるようなもんだろ」
エドワードの自信満々の言葉を聞き、セシルはため息を零した。
「バカじゃないの」
セシルはエドワードと喧嘩をする気にもなれなかった。
ただ、本気で言っているということはわかった。
……否定してやりたいのに。
セシルを愛しているのはルシアンだと自信を持って言い切ってしまいたい。しかし、それはできなかった。愛されている自信がどこにもない。
エドワードは吹っ切ったのだろう。
成立してしまった婚約は簡単には白紙には戻らない。それはわかっているものの、自覚してしまった恋心を心の奥底に片付けることはエドワードにはできない。
「お前が結婚するまでの間に、俺に惚れさせてやる」
エドワードは宣言をした。
それはセシルにとって不快でしかない言葉だ。
「ハヴィランドとの婚約を白紙に戻せるように権力を握ってやるし、絶対にセシルを不幸にさせねえから」
エドワードは本気だった。
本気で言っているのだとわかっているからこそ、セシルは嫌そうな顔をする。
「……バカ王子」
セシルは嫌々ながら前に出た。
ブライアンの後ろに隠れていたい気持ちはあったものの、エドワードの真っすぐすぎる言葉を聞き、セシルだけが逃げるわけにはいかないと考え直したのだろう。
「俺はルシアンが好きだから。だから、お前のことは好きにならない」
「知ってる。でも、これからはどうなるかわからねえだろ? 隙だらけのハヴィランドを出し抜いて、俺に惚れさせてやるからな。覚悟をしとけよ」
「偉そうに。ルシアンに勝てるとでも思ってるのかよ」
セシルの言葉を聞き、エドワードは笑った。
「あんな格下、相手にもならねえよ」
エドワードはルシアンのことを下に見ている。
ハヴィランド辺境伯爵家が担っている役割のことを知らないわけではないだろうが、他人の思惑に踊らされてしまいそうなルシアンの性格を知っているからこそ、エドワードはルシアンのことを気に留めてこなかった。
そんな相手に意中の人を奪われるとは思ってもいなかった。
「俺の方がセシルが好きだしな。その時点で勝ってるようなもんだろ」
エドワードの自信満々の言葉を聞き、セシルはため息を零した。
「バカじゃないの」
セシルはエドワードと喧嘩をする気にもなれなかった。
ただ、本気で言っているということはわかった。
……否定してやりたいのに。
セシルを愛しているのはルシアンだと自信を持って言い切ってしまいたい。しかし、それはできなかった。愛されている自信がどこにもない。
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