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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る
04-7.
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「なんで俺のことが好きだって言うんだよ」
セシルは疑問を口にする。
好意を持たれるようなことは一度もしていない。心当たりもない。
それなのにもかかわらず、エドワードは自分の抱いているセシルに対する好意は間違いではないと確信を得ていた。
お茶会の時には自分自身の言葉さえも疑っていたはずだ。
その姿も見ている。
反射的に叫んでしまった告白を取り消すわけにはいかないと諦めたわけでも、時間の経過と共に噂が消えることを期待しているわけでもない。
エドワードはセシルが好きである。
それを事実として認めてしまっていた。
「好きなものは好きだって言うだろ? 言わねえと伝わらないからな」
「……黙っているだけかもしれないだろ」
「そういうやつもいるだろうけど。俺には理解できねえな。好きだって伝えることもしねえやつに負けてやるつもりはねえし」
エドワードの言葉を聞き、セシルは口を閉ざす。
……バカ王子らしい言い分だ。
良くも悪くもエドワードは正直者だ。
「俺はルシアンが好きなのに」
セシルはその言葉がエドワードの心を傷つけると知っている。
それでも、口にしないわけにはいかなかった。
「知ってるが? さっさ、嫌になるほど耳にしたからな」
エドワードは当然のように受け入れた。
殴り合いの原因となった言動もエドワードは冷静に分析することができる。なにを言えば、セシルが怒るのかも、理解している。セシルの言動や癖を分析し、あえて、怒らせているのだ。
エドワードはセシルの関心を独り占めしたかった。
それが失敗したのは今日が初めてだった。
「ハヴィランドと婚約したのもわかってる。元々、父上が進めた話だしな。宰相が国の為に自分の子どもを犠牲にしようとするのも、よくある話だろ?」
「バカ王子のくせに。なんで、わかってるのに、破棄させてやるって言うのさ!」
「それとこれは別だろ。バカセシル。他でも替えが利くのに、わざわざ、俺のものを差し出してやる必要なんかねーんだよ」
エドワードは当然のように言い切った。
その言葉をブライアンは無表情のまま、聞いていた。
セシルは疑問を口にする。
好意を持たれるようなことは一度もしていない。心当たりもない。
それなのにもかかわらず、エドワードは自分の抱いているセシルに対する好意は間違いではないと確信を得ていた。
お茶会の時には自分自身の言葉さえも疑っていたはずだ。
その姿も見ている。
反射的に叫んでしまった告白を取り消すわけにはいかないと諦めたわけでも、時間の経過と共に噂が消えることを期待しているわけでもない。
エドワードはセシルが好きである。
それを事実として認めてしまっていた。
「好きなものは好きだって言うだろ? 言わねえと伝わらないからな」
「……黙っているだけかもしれないだろ」
「そういうやつもいるだろうけど。俺には理解できねえな。好きだって伝えることもしねえやつに負けてやるつもりはねえし」
エドワードの言葉を聞き、セシルは口を閉ざす。
……バカ王子らしい言い分だ。
良くも悪くもエドワードは正直者だ。
「俺はルシアンが好きなのに」
セシルはその言葉がエドワードの心を傷つけると知っている。
それでも、口にしないわけにはいかなかった。
「知ってるが? さっさ、嫌になるほど耳にしたからな」
エドワードは当然のように受け入れた。
殴り合いの原因となった言動もエドワードは冷静に分析することができる。なにを言えば、セシルが怒るのかも、理解している。セシルの言動や癖を分析し、あえて、怒らせているのだ。
エドワードはセシルの関心を独り占めしたかった。
それが失敗したのは今日が初めてだった。
「ハヴィランドと婚約したのもわかってる。元々、父上が進めた話だしな。宰相が国の為に自分の子どもを犠牲にしようとするのも、よくある話だろ?」
「バカ王子のくせに。なんで、わかってるのに、破棄させてやるって言うのさ!」
「それとこれは別だろ。バカセシル。他でも替えが利くのに、わざわざ、俺のものを差し出してやる必要なんかねーんだよ」
エドワードは当然のように言い切った。
その言葉をブライアンは無表情のまま、聞いていた。
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