27 / 39
第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る
03-9.
しおりを挟む
「怒らないで。セシル。良い子だから、わかってくれるだろう?」
ブライアンの言葉に対し、セシルは不満そうな顔を隠すこともなく、頷いた。
……仲直りなんてしないけど。
そもそも、原因はエドワードにある。
エドワードが謝るのならば、それを許してあげてもいい。
セシルはそんなことを考えながら、ブライアンの提案を受け入れたかのように振る舞っていた。
「兄様。ルシアンのところに行ってもいい?」
「構わないよ」
セシルはブライアンの許可を得た途端、走り出した。
走り出した勢いのまま、茫然としたままのルシアンに飛びつく。
「ルシアン!」
まるで何年も会うことが許されなかった恋人と再会したかのような勢いだ。セシルは勢いのままにルシアンに飛びつき、そのまま、抱きしめる。
「ケガしてないか?」
セシルはルシアンを心配そうに見上げる。
背中に両腕を回し、不安そうに首を傾げた。
その可愛らしい仕草にルシアンの頬は赤く染まる。
「それは僕のセリフだよ」
ルシアンは慣れているかのようにセシルの頭を撫ぜた。
「殴られたところ、痛いよね」
ルシアンはセシルが殴られていたところを見てしまった。
喧嘩が始まったことに気づき、同席していた夫人たちの制止も聞かずに駆け寄ったのだろう。すぐにでも、セシルを抱きしめたい気持ちを抑え、暴れているエドワードを取り押さえることを優先した。
そのことをルシアンは後悔していた。
「俺も殴ってやったから痛くない」
「そんなわけがないでしょ。殴った手も痛いはずだよ」
「大丈夫だって! 俺よりもルシアンが嫌な思いしただろ?」
セシルはルシアンを抱きしめながら、笑う。
「もっと殴ってやりたかったのに」
セシルは納得していなかった。
エドワードのルシアンを軽視する発言が許せなかった。
なにより、二人の関係を壊そうとするエドワードを許せなかった。
……失敗した。
エドワードには謝罪をしてもらうべきだった。
ブライアンの言葉に対し、セシルは不満そうな顔を隠すこともなく、頷いた。
……仲直りなんてしないけど。
そもそも、原因はエドワードにある。
エドワードが謝るのならば、それを許してあげてもいい。
セシルはそんなことを考えながら、ブライアンの提案を受け入れたかのように振る舞っていた。
「兄様。ルシアンのところに行ってもいい?」
「構わないよ」
セシルはブライアンの許可を得た途端、走り出した。
走り出した勢いのまま、茫然としたままのルシアンに飛びつく。
「ルシアン!」
まるで何年も会うことが許されなかった恋人と再会したかのような勢いだ。セシルは勢いのままにルシアンに飛びつき、そのまま、抱きしめる。
「ケガしてないか?」
セシルはルシアンを心配そうに見上げる。
背中に両腕を回し、不安そうに首を傾げた。
その可愛らしい仕草にルシアンの頬は赤く染まる。
「それは僕のセリフだよ」
ルシアンは慣れているかのようにセシルの頭を撫ぜた。
「殴られたところ、痛いよね」
ルシアンはセシルが殴られていたところを見てしまった。
喧嘩が始まったことに気づき、同席していた夫人たちの制止も聞かずに駆け寄ったのだろう。すぐにでも、セシルを抱きしめたい気持ちを抑え、暴れているエドワードを取り押さえることを優先した。
そのことをルシアンは後悔していた。
「俺も殴ってやったから痛くない」
「そんなわけがないでしょ。殴った手も痛いはずだよ」
「大丈夫だって! 俺よりもルシアンが嫌な思いしただろ?」
セシルはルシアンを抱きしめながら、笑う。
「もっと殴ってやりたかったのに」
セシルは納得していなかった。
エドワードのルシアンを軽視する発言が許せなかった。
なにより、二人の関係を壊そうとするエドワードを許せなかった。
……失敗した。
エドワードには謝罪をしてもらうべきだった。
1
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
悪役令息の死ぬ前に
ゆるり
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。
主人公は俺狙い?!
suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。
容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。
だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。
朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。
15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。
学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。
彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。
そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、
面倒事、それもBL(多分)とか無理!!
そう考え近づかないようにしていた。
そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。
ハプニングだらけの学園生活!
BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息
※文章うるさいです
※背後注意
悪役令息、主人公に媚びを売る
枝豆
BL
前世の記憶からこの世界が小説の中だと知るウィリアム
しかも自分はこの世界の主人公をいじめて最終的に殺される悪役令息だった。前世の記憶が戻った時には既に手遅れ
このままでは殺されてしまう!こうしてウィリアムが閃いた策は主人公にひたすら媚びを売ることだった
n番煎じです。小説を書くのは初めてな故暖かな目で読んで貰えると嬉しいです
主人公がゲスい
最初の方は攻めはわんころ
主人公最近あんま媚び売ってません。
主人公のゲスさは健在です。
不定期更新
感想があると喜びます
誤字脱字とはおともだち
乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。
ぽぽ
BL
転生したと思ったら乙女ゲーム?!
しかも俺は公式キャラじゃないと思ってたのにチートだった為に悪役令息に仕えることに!!!!!!
可愛い彼のために全身全霊善処します!……とか思ってたらなんかこれ展開が…BLゲームかッッ??!
表紙はフレドリックです!
Twitterやってますm(*_ _)m
あおば (@aoba_bl)
嫌われ悪役令息に転生したけど手遅れでした。
ゆゆり
BL
俺、成海 流唯 (なるみ るい)は今流行りの異世界転生をするも転生先の悪役令息はもう断罪された後。せめて断罪中とかじゃない⁉︎
騎士団長×悪役令息
処女作で作者が学生なこともあり、投稿頻度が乏しいです。誤字脱字など等がたくさんあると思いますが、あたたかいめで見てくださればなと思います!物語はそんなに長くする予定ではないです。
乙女ゲームの強制力を舐めていました。このまま立派な悪役令息になってしまいそうです。
棚から現ナマ
BL
俺はティオリ。乙女ゲームの世界に転生しました。それもアルアルの悪役令息への転生です! もちろん断罪なんて、されたくないからヒロインを虐めたりなんかしません! って、思っていたのに……。初っばなからヒロインちゃんを思いっきり罵っちゃったよ。どうする俺! このまま乙女ゲームの強制力に負けてしまうのか!? でも、なんだかストーリーとは違うところもあるようで、嫌われているはずの婚約者のアルバンからチュッチュッさせているんですけど? ただイチャイチャしているだけのお話です。
名前のない脇役で異世界召喚~頼む、脇役の僕を巻き込まないでくれ~
沖田さくら
BL
仕事帰り、ラノベでよく見る異世界召喚に遭遇。
巻き込まれない様、召喚される予定?らしき青年とそんな青年の救出を試みる高校生を傍観していた八乙女昌斗だが。
予想だにしない事態が起きてしまう
巻き込まれ召喚に巻き込まれ、ラノベでも登場しないポジションで異世界転移。
”召喚された美青年リーマン”
”人助けをしようとして召喚に巻き込まれた高校生”
じゃあ、何もせず巻き込まれた僕は”なに”?
名前のない脇役にも居場所はあるのか。
捻くれ主人公が異世界転移をきっかけに様々な”経験”と”感情”を知っていく物語。
「頼むから脇役の僕を巻き込まないでくれ!」
ーーーーーー・ーーーーーー
小説家になろう!でも更新中!
早めにお話を読みたい方は、是非其方に見に来て下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる