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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る

03-7.

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「……俺も、そう思う」

 エドワードは力なく答えた。

 自分でも想定外の言葉を口にしていたのだろう。

「セシルは俺の嫁になるんじゃねえのか」

「ならないから。殴られて頭でもおかしくなったんじゃないの」

 セシルは断言する。

 現実を受け入れる為なのか。先ほどと同じ言葉を口にしているエドワードに対し、僅かに同情をしていた。

 ……頭を殴ったのがいけなかったか。

 打ち所が悪かったのかもしれない。

 そうでなければ、犬猿の仲であるはずのセシルに対し、告白をするとは考えにくい。

「いや、でも……。ハヴィランドだけは絶対に嫌だ」

 エドワードは言い切った。

 自分自身の行動にも、機嫌が悪くなってしまっていたことにも、エドワードはあまり自覚をしていなかった。

 犬猿の仲であるセシルが浮かれているのが、気に入らなかった。

 そう思い込もうとしていたのだろう。

「俺はセシルのことが好きなのか?」

「え。無理。俺はエドワードのことをそんなに好きじゃないし」

「はぁ? ふざけんなよ。セシルも俺のことを好きになればいいだろ」

 エドワードは初めて恋を自覚した。

 そして、自覚したのと同時に失恋をした。

 それは叶わない恋であるという現実を受け入れることができず、あれほどまでに機嫌が悪くなっていたのだろう。

 ……正気か? こいつ。

 セシルは数歩下がる。

 いつもならば、逃げるのかと煽ってくるはずのエドワードは動かない。

 それどころか、恋心を自覚してしまったのがよほど衝撃的だったのだろう。セシルが少しずつ距離をとっていることにも気づかないほどに、エドワードは動揺していた。

「兄様。バカ王子がバカになった」

「恋は人を狂わせるものだからね。セシルがかわいいから、誰でも恋に落ちるのは仕方がないと兄様は思うよ」

 ブライアンの言葉を聞き、セシルは同情するような目をエドワードに向けた。
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