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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る
03-6.
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「ふざけんなよ。セシルのくせに」
誰もエドワードを止められなかった。
「婚約を破談させてやる」
エドワードは宣言をした。
その言葉を聞き、セシルは心の底から軽蔑すると言わんばかりの顔をして舌打ちをした。
「……兄様。放して」
「あ、ああ。でも、セシル、殴るのは――」
「もう殴らないから」
セシルは怒っていた。
一方的なエドワードの宣言は効力を持たない。
セシルの婚約は、宰相であるデズモンドが決めてきたものであり、エドワードは無関係だからだ。
家族に対しては温厚なセシルが怒っていることに驚いたのか。
セシルの殴らないという言葉を信じたのか。
ブライアンは、セシルを羽交い絞めしていた腕を下ろした。
「破談なんかしないから」
セシルはエドワードの頬を叩いた。
ブライアンに対し、エドワードを殴らないと告げたことを一瞬で忘れてしまったかのようだった。
「俺からルシアンを奪おうとするなら、エドワードでも許さないからな」
セシルの言葉を聞き、エドワードは心外だと言わんばかりに表情を歪めた。
「誰がアレを欲しがるかよ!」
エドワードは殴り返しそうになるのを堪えつつ、セシルと向き合う。
叩かれた頬は赤く染まる。
いつになく、真剣な目をしていた。
「俺はセシルが好きなんだよ!」
エドワードは冷静ではなかった。
反射的に心の声を口にしてしまったことに気づき、慌てて自分自身の口を手で押さえてみるものの、なにもかも遅かった。
お茶会に参加をしている者たちの耳に届いてしまっている。
その中にはアリシアと親しげに会話を交わし、二人のやり取りを見守っているだけだった王妃の姿もあった。
「は? 気持ち悪いんだけど。殴りすぎて頭がおかしくなった?」
セシルはエドワードの告白を聞いても動じない。
それどころか、殴りどころが悪かったのではないかと心配するほどだ。
誰もエドワードを止められなかった。
「婚約を破談させてやる」
エドワードは宣言をした。
その言葉を聞き、セシルは心の底から軽蔑すると言わんばかりの顔をして舌打ちをした。
「……兄様。放して」
「あ、ああ。でも、セシル、殴るのは――」
「もう殴らないから」
セシルは怒っていた。
一方的なエドワードの宣言は効力を持たない。
セシルの婚約は、宰相であるデズモンドが決めてきたものであり、エドワードは無関係だからだ。
家族に対しては温厚なセシルが怒っていることに驚いたのか。
セシルの殴らないという言葉を信じたのか。
ブライアンは、セシルを羽交い絞めしていた腕を下ろした。
「破談なんかしないから」
セシルはエドワードの頬を叩いた。
ブライアンに対し、エドワードを殴らないと告げたことを一瞬で忘れてしまったかのようだった。
「俺からルシアンを奪おうとするなら、エドワードでも許さないからな」
セシルの言葉を聞き、エドワードは心外だと言わんばかりに表情を歪めた。
「誰がアレを欲しがるかよ!」
エドワードは殴り返しそうになるのを堪えつつ、セシルと向き合う。
叩かれた頬は赤く染まる。
いつになく、真剣な目をしていた。
「俺はセシルが好きなんだよ!」
エドワードは冷静ではなかった。
反射的に心の声を口にしてしまったことに気づき、慌てて自分自身の口を手で押さえてみるものの、なにもかも遅かった。
お茶会に参加をしている者たちの耳に届いてしまっている。
その中にはアリシアと親しげに会話を交わし、二人のやり取りを見守っているだけだった王妃の姿もあった。
「は? 気持ち悪いんだけど。殴りすぎて頭がおかしくなった?」
セシルはエドワードの告白を聞いても動じない。
それどころか、殴りどころが悪かったのではないかと心配するほどだ。
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