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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る

02-14.

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 ……わかってくれたんだろうか。

 セシルは不安だった。

 アリシアの性格をよくわかっているからこそ、素直にセシルの言葉を聞き入れるはずがないと知っている。

「セシル。わたくしのかわいいセシル」

 アリシアはセシルを溺愛している。

 子どもたちの中で唯一アリシアに似た容姿をしているからなのかもしれない。

「お茶会をいたしましょうね」

「なんで?」

「アレは、セシルに相応しくないとわからせてあげないといけないでしょう?」

 アリシアの言葉を聞き、セシルは目を細めた。

 ……お母様は何もわかってない。

 母親の言葉を聞き、言い返さなかった。

 ……俺が何を言っても、逆効果になりそう。

 セシルの言葉はアリシアに通じない。

 それどころか、ハヴィランド辺境伯爵家との関係を取り持つのが自分の役目だと思い、必死になっているのだとアリシアの都合がいいように解釈されるだけだろう。

 ……どうしよう。

 説得する方法が思い浮かばない。

 セシルは考えることを放棄したくなった。しかし、ルシアンのことを思うと何もせずに考えることを止めるわけにはいかない。

 ……ルシアンに相談しよう。

 アリシアの暴走はセシルでは止められない。

 それを悟ったようにセシルがため息を零したことにも、アリシアは気にしていなかった。

「アリシア。何度も言わせるな。ハヴィランドとの婚約を白紙に戻すようなことはできない」

「いいえ。それは考え直すべきですわ」

「セシルが結婚をすると言ったんだ。それでいいではないか」

 デズモンドの言葉に対し、アリシアは首を横に振った。

「いいえ。わたくし、認めませんわ」

 アリシアはセシルを両腕で抱きしめながら、否定する。

「セシルに相応しいお相手か、確かめる機会をいただいてもよろしいでしょう?」

 アリシアの言葉に対し、デズモンドは諦めた顔で頷いた。
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