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第1話 10歳の悪役令息、幼馴染の秘密を知る
02-9.
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相手の名前は出さなかった。
セシルも興味がなかった為、聞かなかった。
しかし、両親の会話を聞いている限り、相手が誰であったのか、気づいてしまった。
……エドワードだったのか。
ぞっとした。
ルシアンと親しくしていなければ、婚約を結ばされていた相手は犬猿の仲であるエドワード・ガーネットになっていた可能性が高い。
……初恋の相手とか言っていたよな?
先ほどの会話を思い出す。
ほとんどはルシアンの暴走に近い内容だ。一方的で理解のできない単語が多い会話の内容は、セシルにはほとんどわからなかった。
しかし、初恋の機会を奪ってしまったと後悔しているようだった。
その初恋が実らなければいいと考え、衝動的に行動に移してしまったのだろう。それが本来の運命を壊すようで恐ろしかったのかもしれない。
しかし、セシルにとって、ルシアンのその行動は不幸中の幸いだった。
……ありえない。
エドワードに恋心を抱くことを想像するだけで吐き気がする。
顔を見るだけで殴りたくなる。毎回、挨拶のようにセシルをからかってくるエドワードに対し、好意を抱くとは思えない。
「お父様。お母様」
セシルは傍観者になるつもりはなかった。
当事者として話に加わるのには幼すぎる。
しかし、両親の話を聞いている限り、デズモンドの心が折れ、アリシアの提案を受け入れる可能性もあることに気づいてしまった。
それだけは阻止しなければならなかった。
その為には、セシルの意思をはっきりと伝えることが重要だった。
「俺はルシアンと結婚したい」
セシルの言葉を聞き、デズモンドとアリシアの表情が強張った。
婚約を結んできた張本人であるデズモンドも、セシルの言葉は想定外だったようだ。
「セシル。お前は誰よりも素直で、誰よりもいい子だ。でも、お父様とお母様の言い争いを宥める為だけに、自分を犠牲するような選択はしてはいけない」
デズモンドは、セシルの発言を諍いを止める為だけのものだと判断したようだ。両親の争いを見たくはないと子どもに訴えさせてしまったと、酷く、後悔をしているようにも見えた。
セシルも興味がなかった為、聞かなかった。
しかし、両親の会話を聞いている限り、相手が誰であったのか、気づいてしまった。
……エドワードだったのか。
ぞっとした。
ルシアンと親しくしていなければ、婚約を結ばされていた相手は犬猿の仲であるエドワード・ガーネットになっていた可能性が高い。
……初恋の相手とか言っていたよな?
先ほどの会話を思い出す。
ほとんどはルシアンの暴走に近い内容だ。一方的で理解のできない単語が多い会話の内容は、セシルにはほとんどわからなかった。
しかし、初恋の機会を奪ってしまったと後悔しているようだった。
その初恋が実らなければいいと考え、衝動的に行動に移してしまったのだろう。それが本来の運命を壊すようで恐ろしかったのかもしれない。
しかし、セシルにとって、ルシアンのその行動は不幸中の幸いだった。
……ありえない。
エドワードに恋心を抱くことを想像するだけで吐き気がする。
顔を見るだけで殴りたくなる。毎回、挨拶のようにセシルをからかってくるエドワードに対し、好意を抱くとは思えない。
「お父様。お母様」
セシルは傍観者になるつもりはなかった。
当事者として話に加わるのには幼すぎる。
しかし、両親の話を聞いている限り、デズモンドの心が折れ、アリシアの提案を受け入れる可能性もあることに気づいてしまった。
それだけは阻止しなければならなかった。
その為には、セシルの意思をはっきりと伝えることが重要だった。
「俺はルシアンと結婚したい」
セシルの言葉を聞き、デズモンドとアリシアの表情が強張った。
婚約を結んできた張本人であるデズモンドも、セシルの言葉は想定外だったようだ。
「セシル。お前は誰よりも素直で、誰よりもいい子だ。でも、お父様とお母様の言い争いを宥める為だけに、自分を犠牲するような選択はしてはいけない」
デズモンドは、セシルの発言を諍いを止める為だけのものだと判断したようだ。両親の争いを見たくはないと子どもに訴えさせてしまったと、酷く、後悔をしているようにも見えた。
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