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第1話 犬猿の仲の婚約者
03-10.
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* * *
気を失っていたらしいとぼんやりした頭で考えながら、アストラの目が覚めた。そこはロイと激しい行為をした執務室のソファーであり、気を利かせたのか、服だけは着させてあった。
……腰が痛い。
全身に鈍い痛みがある。
結婚前だからと中には出されなかったものの、回数を重ねれば、当然、体のいたるところが筋肉痛のような痛みが走るだろう。
それに近い痛みがあった。
しかし、アストラは最後までしていない。
挿入をする前にアストラの意識が飛んでしまった。
そのことに気づいたロイは高ぶる自身を抑えながらも、理性を総動員して我慢している状態だ。
意識を無くした婚約者に無理をさせることは、ロイにはできなかった。
……ピロートークとかねえの?
嫁に行った姉や兄から聞いた話が参考にならなかった。
獣のように興奮しきったロイを思い出し、アストラは赤面する。それを隠すようにかけられていたタオルケットに潜り込んだ。
……まあ、いいけど。
アストラは気分が良かった。
ロイには自分だけなのだと思い知らされたかのような感覚は、初めてだった。それはアストラの欲を満たすようで心地が良い。
「目が覚めたのか?」
「……うん」
「そうか。無理をさせたな。体が痛いだろう?」
ロイは書類を整理していた手を止め、アストラのもとに向かう。
……優しいんだよな。
その優しさを向けられるのは限られた相手だけだとアストラは知っていた。
アストラだけが独占できている。
それを誰にも渡したくはなかった。
「平気だ」
アストラは強がっているわけではない。
体のいたるところが筋肉痛のような痛みを発しているものの、耐えられないわけではない。ゆっくりと体を起こし、ソファーに座り直す。
座っていても違和感はない。ただ、どうしようもない倦怠感があった。
気を失っていたらしいとぼんやりした頭で考えながら、アストラの目が覚めた。そこはロイと激しい行為をした執務室のソファーであり、気を利かせたのか、服だけは着させてあった。
……腰が痛い。
全身に鈍い痛みがある。
結婚前だからと中には出されなかったものの、回数を重ねれば、当然、体のいたるところが筋肉痛のような痛みが走るだろう。
それに近い痛みがあった。
しかし、アストラは最後までしていない。
挿入をする前にアストラの意識が飛んでしまった。
そのことに気づいたロイは高ぶる自身を抑えながらも、理性を総動員して我慢している状態だ。
意識を無くした婚約者に無理をさせることは、ロイにはできなかった。
……ピロートークとかねえの?
嫁に行った姉や兄から聞いた話が参考にならなかった。
獣のように興奮しきったロイを思い出し、アストラは赤面する。それを隠すようにかけられていたタオルケットに潜り込んだ。
……まあ、いいけど。
アストラは気分が良かった。
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「目が覚めたのか?」
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「そうか。無理をさせたな。体が痛いだろう?」
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それを誰にも渡したくはなかった。
「平気だ」
アストラは強がっているわけではない。
体のいたるところが筋肉痛のような痛みを発しているものの、耐えられないわけではない。ゆっくりと体を起こし、ソファーに座り直す。
座っていても違和感はない。ただ、どうしようもない倦怠感があった。
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