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第1話 犬猿の仲の婚約者
02-2.
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才能はある。
しかし、周囲はアストラが力を行使する環境に置かれることを許さなかった。
その為、アストラの手が荒れるわけがなかった。
「婚約破棄だ。ロイの浮気野郎」
アストラは本題を告げる。
感情をごまかすような飾り言葉も、弾圧するような罪状を語らない。
浮気を許せない。理由はそれだけで充分だ。
……覚悟してきただろ。
自分自身を叱咤激励する。
堂々としていなければいけない。アストラに非はないのだから、後悔もしなくていいはずだ。
「弁明できるものならしてみろよ。できないなら、婚約の破棄に同意しろ」
アストラは強気だ。
そうでもしなければ、泣いてしまいそうだった。心の奥にしまうことさえもできない恋心が、悲鳴を上げている。
「弁明? ……下世話な記者たちのくだらない噂だろう。それに毎回振り回されるのは、かわいらしいが、今回ばかりは我慢ならなかったようだな」
ロイは淡々と語る。
机の上に投げつけられた新聞を文字や写真が見えるように、手で伸ばし、内容を確認する。
ロイの怒りの矛先は、新聞社の記者たちに向けられていた。
溺愛し、執着している最愛の婚約者のアストラの感情を揺らすべきなのはロイであり、それ以外は舞台に上がることすら許されない傍観者でいるべきだとロイは常々思っていた。
それなのにもかかわらず、アストラは婚約を白紙に戻すことさえも視野に入れてしまっていた。それはロイの思惑を遥かに超えていた。
「宝石店を利用したのは事実だ」
ロイは新聞を執務用の机に投げる。
杖を軽く振るい、新聞がどこかにいかないように、重りを新聞の上に置いた。
「写真の女性は当家のメイドだな。本邸のメイド長は知っているだろう? 彼女の三女だったはずだ」
「メイドに手を出したってことかよ。節操なしの浮気野郎め」
「違う。免罪だ。これは荷物持ちの為に連れて行ったところを、それらしく写真を撮られたんだ」
ロイは否定した。
その言葉には嘘はなさそうだ。
しかし、周囲はアストラが力を行使する環境に置かれることを許さなかった。
その為、アストラの手が荒れるわけがなかった。
「婚約破棄だ。ロイの浮気野郎」
アストラは本題を告げる。
感情をごまかすような飾り言葉も、弾圧するような罪状を語らない。
浮気を許せない。理由はそれだけで充分だ。
……覚悟してきただろ。
自分自身を叱咤激励する。
堂々としていなければいけない。アストラに非はないのだから、後悔もしなくていいはずだ。
「弁明できるものならしてみろよ。できないなら、婚約の破棄に同意しろ」
アストラは強気だ。
そうでもしなければ、泣いてしまいそうだった。心の奥にしまうことさえもできない恋心が、悲鳴を上げている。
「弁明? ……下世話な記者たちのくだらない噂だろう。それに毎回振り回されるのは、かわいらしいが、今回ばかりは我慢ならなかったようだな」
ロイは淡々と語る。
机の上に投げつけられた新聞を文字や写真が見えるように、手で伸ばし、内容を確認する。
ロイの怒りの矛先は、新聞社の記者たちに向けられていた。
溺愛し、執着している最愛の婚約者のアストラの感情を揺らすべきなのはロイであり、それ以外は舞台に上がることすら許されない傍観者でいるべきだとロイは常々思っていた。
それなのにもかかわらず、アストラは婚約を白紙に戻すことさえも視野に入れてしまっていた。それはロイの思惑を遥かに超えていた。
「宝石店を利用したのは事実だ」
ロイは新聞を執務用の机に投げる。
杖を軽く振るい、新聞がどこかにいかないように、重りを新聞の上に置いた。
「写真の女性は当家のメイドだな。本邸のメイド長は知っているだろう? 彼女の三女だったはずだ」
「メイドに手を出したってことかよ。節操なしの浮気野郎め」
「違う。免罪だ。これは荷物持ちの為に連れて行ったところを、それらしく写真を撮られたんだ」
ロイは否定した。
その言葉には嘘はなさそうだ。
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